今月のお薦め本(1983年11月)
みどりはエスパーシリーズ
著者:不明
SFマガジン288号から少なくとも309号まで掲載(三和銀行の広告小説)

このシリーズは、三和銀行の広告小説(ショートショート)です。素晴らしいのは、「広告」と書きましたが、広告臭さが殆どないこと。回によっては、イメージ広告にすらなっておらず、大蔵省の代わりに情報提供してるとしか思えないような場合もあります。

さらに小説としての出来映えもなかなかのものです。毎月、600字に満たない分量に、広告を目立たないように折り込みながら、おちのある話としてまとめるというのは、私などから見ると驚嘆すべき才能です。

また、このような広告を1年以上(おそらく数年間)続けた三和銀行の度量の深さにも驚きます。いったいどんないきさつで始まった広告なのか、誰が執筆していたのか、興味は尽きません。

さて、シリーズの中身ですが、主人公は早川みどり、1983年11月時点で20才のOLです。実は彼女は、テレパシー、テレポート、タイムトラベル・・・なんでもありの超エスパー。その事実を知っているのは、本人と、弟のヨシオ(高校生)のみです。

各号の話は、みどりとヨシオの日常生活の1場面に、超能力と金融商品をからめて構成されています。具体的には次の表の通りです。


掲載号
タイトル
内容
三和の
広告内容
1
1982年7月(288号)
遠い呼び声 弟のヨシオから、旅先で金を使い果たして困っているので至急テレポートで送って欲しい、という思念が届く。みどりは念のために弟の財布を透視したところ、バンクカード(キャッシュカード)を発見。
バンク
カード
2
1982年8月(289号)
エスパー
VS
エスパー
電気代やガス代の支払いに時間を取られ、同僚のケイコにぐちをこぼす、みどり。ケイコは「そんなの簡単」と笑っている。もしやケイコもエスパーなのか、と心を読んでみると、「何も知らないみどりに、食事と引き換えに、自動引き落としのことを教えてやろう」と考えているのを発見。みどりは、自分で気が付いた振りをして難を逃れる。
公共料金
自動支払
3
1982年9月(290号)
未来を
この手に。
未来予知もミドリの得意技の1つ。たった今、目の前で「結婚なんてまだ先の話」と言っているカオルが、3年後には6つ子の母親になることも分かってしまう。のんきにおしゃべりするカオルに、トランプ占いを装って未来を告げ、将来に備えた準備を薦める。
新年金型
預金
4
1982年10月(291号)
父と母の
テレパシー
今日は父の給料日。夕方の食卓では、父と母が表面は和やかに会話しながら、心の中では「自分が欲しい物をどう切り出そうか」と思案にくれている。テレパシーで二人の心を読みとり「またヤッテる」とほくそ笑むみどり。と、二人が同時に、ヨシオの大学進学に備えて定期貯金が必要だと考え、お互いが同じ思いに達したのを感じる。みどりは「夫婦のテレパシーにはかなわない」と脱帽する。
定期預金
5
1982年11月(292号)
午後3時の
エスパー
午後2時58分、明日から旅行というのに財布が空っぽのみどり。切羽詰まって銀行へテレポートするが、着いたところで、バンクカードを使えば午後6時まで引き出せるから慌てる必要がなかった、ということに気付く。
バンク
カード
6
1982年12月(293号)
エスパーの
忘れ物
電車の中、給料袋をどこに入れたか忘れてしまい、慌てている中年紳士。こっそり透視してみると、網棚のオーバーのポケットに忘れられている!
気の毒に思ったみどりは、今度は念動力を使ってオーバーを紳士の頭の上に落とす。
見つかってほっとする紳士。その光景を見て、「やっぱり給料は振込が安全だな」と思う乗客達。
給与振込
7
1983年1月(295号)
エスパー
海を渡る
友達のユミと海外旅行を夢見るみどり。行きたくてたまらないのだが先立つものがない。ふとユミの2ヶ月後の未来を覗いてみると、エッフェル塔の前で写真を撮る姿が!その隣にはみどりもいる。なぜ?と驚くみどりに、ユミが、期日指定定期の中途引き落としを使おうと持ちかける。
期日指定
定期
8
1983年2月(296号)
エスパーの
姉弟愛
ヨシオはスキーに行きたくて姉のみどりに無心。あまやかしてはクセになると、取り合わないみどり。ついヨシオの心を覗いてみると定期預金のことを忘れているのを発見。その口座なら自動融資が使えると教える。
定期預金
総合口座
9
1983年3月(297号)
エスパーの
秘かな愉しみ
職場の若い男性の車談義に耳を傾けるみどり。心の声をこっそり聞いてみると、口では「カネがなくて買えないよ」なんて言いながら、定期預金やローン頼りの購入を検討中。思わずクスリと笑うみどり。
クローバー
カード
10
1983年4月(298号)
あの日に
タイム
トラベル
今日は高校の同窓会。3年ぶりの再会に会話がはずむうち、「みどりは試験の山勘などが妙に鋭かった」という話になる。冗談で「エスパーじゃないの?」と言われて内心あせるみどり。ちょうど到着した先生に注目が移り、危機一髪、救われる。
期日指定
定期
11
1983年5月(299号)
ベイビィ・
ドリーム
友達のユウコが無事に出産。みどりは赤ちゃんからの思念をキャッチする。
新年金型
預金
12
1983年6月(300号)
男と女の
二元方程式
たまたま通りかかった喫茶店からもれてきた、結婚前のカップルの会話と思念をキャッチ。二人の思いは違うのに会話は一致している!「人間ってオモシロイ」とあらためて感じる。
期日指定
定期 他
13
1983年7月(301号)
失われた指輪 母親のお出かけ支度を手伝うみどり。ようやく服が決まりほっとしたのもつかの間。母が「指輪がなくなった」と騒ぎ出す。あちこち探した挙げ句、手袋の下に着けているのを発見。「そんなに大切なものなら銀行の貸金庫にでも預ければ」
銀行の
貸金庫
14
1983年8月(303号)
エスパーは
ご機嫌ななめ
両親は旅行、ヨシオは合宿にでかけ、みどりは一人でお留守番。せっかくの休みだというのに、ガス・水道の集金人待ちで、家から一歩も出かけられず不機嫌なみどり。公共料金自動支払を申し込んでくれればいいのに、とご立腹。
公共料金
自動支払
15
1983年9月(304号)
エスパーの
熱き戦い。
みどりとユウコはショーウィンドウに飾られたステキなドレスを眺めてうっとり。ところが二人ともお金がない。と、ユウコが店内に駆け込む。心を読むとクレジット払いで買おうとしている。「やられた!」と思ったのもつかの間、サイズが合わずがっかりしたユウコが出てくる。
サンワ
JCB
カード
16
1983年10月(305号)
エスパーの
新超能力
友達のケイコと二人で北海道旅行に出かけたみどり。豪遊しすぎて、旅の途中で財布が空になってしまう。「もう帰る」というケイコに、「超能力で大丈夫」と告げ、バッグのJCBカードを見せる。
サンワ
JCB
カード
17
1983年11月(306号)
時を
かけすぎた
少女
みどりは、ちょっと魔がさして、定期預金を預けた直後に3年後の世界に時間移動。3年分の利子を先に受け取ってお買い物に使おうとしたのだが、受け取ったのは「今」はまだ使用できない夏目漱石の札だった。
定期預金?
18
1983年12月(307号)
おばあちゃん
のいる風景
懐かしいおばあちゃんに会いたくなって15年前にタイムトラベル。5歳の自分にお小遣いをあげに行く途中のおばあちゃんと話をする。
新年金型
預金
19
1984年1月(308号)
エスパーの
未来日記
みどりは自分がボーナスをどんな風に使うか未来予知したところ、衝動買いのひどさに呆れてしまう。これからは少しずつでも継続的に預金をしようと、心に決める。
自動積立
20
1984年2月(309号)
エスパーは
二度夢を見る
弟の悪夢を感じ取ったみどり。弟が学費のことを気にしているのを知り、そんなことは気にかけなくても大丈夫だと説明する。
新年金型
預金