1983年3月号(297号)

ハヤカワSFマガジン297号表紙
(C) 早川書房
作品的には、まずまず満足できます。理由は単純で翻訳物が4作品も掲載されてるから。これは久々の快挙です。

4作品はそれぞれに味があるのですが、1つだけ選ぶとすると、「真説シンデレラ物語」でしょう。よくある、昔話を題材にした作品ですが、誰でも知ってる「シンデレラ」の話を、いじわる(だと伝えられている)姉の観点から書いたお話です。

このお話によると、シンデレラは器量がいいだけで頭が空っぽなお方で、金に困らない家庭なのだから使用人にやらせればいいのに、わざわざ洗濯だの繕い物だのをやりはじめて不幸な少女を演じ、周りを当惑させる、こまったチャンだったそうな。

しまいには皆が行けと言うのに「病気のお父様を一人にしておけない」と言い張って舞踏会を欠席し、自己犠牲の喜びに浸っていたのですが、知り合いのおばさまに「あんたみたいな娘は早くお嫁に片づくのが父親にとっても一番の幸せよ」と説得されたとか。

二人の姉は、器量は悪いけれども聡明で、周囲からの人望も厚い女性として描かれております。

誰だったか、「同じストーリーでも観点を変えれば全く違った話になる」という言葉を思い出しました。例えば非合法政治活動家を追う立場から書けば、凶悪な犯罪者から市民を守るという話が出来るし、同じ出来事を活動家の観点から語れば、不当な政府と闘う自由の戦士の話が出来上がる、というわけです。

2番目におもしろかったのは「ティハーマ」かな。遺産を使い果たした男が、インディアンの呪術を使って悪事を企てますが、「人を呪わば・・」ということば通りの結末になります。ストーリーそのものだけでなく、作品に現れる呪術的な生き物(精霊)や、インディアンに伝わる伝説も興味深く楽しめました。

「バベル2」も。地球外からきた知性体(手っ取り早く「宇宙人」と書かないのにはワケがある)がうっかり引き起こした、ある現象のために地球中が大混乱するというコミックSF。ちょっぴり風刺の効いた都会派SFです。「ある現象」というのがどんな現象なのかは、題名をヒントに想像することが出来ます。

最後の「見張り」だけは、今ひとつの感あり。数百年後の月が舞台です。月面の見回りに出かけた主人公が謎の機械から攻撃を受けます。「さて、この機械の正体は?」という内容。いかにも東欧風な「まじめな」小説です。

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作品以外では、「安田均のアメリカSF情報」の中で、コードウェイナー・スミス、「SFセミナー」では、クラークと、私の好きな作家の名前があちこちに登場していました。

少し身の程知らずですが、アシモフの作品紹介が終わったら、コードウェイナー・スミスの作品紹介してみようかな、なんて思ってしまいました。


全掲載内容
コンテンツ
作者
ページ
表紙イラストレーション 加藤直之
表紙
広告 三和銀行の連載小説広告「みどりはエスパー第9回
-
表紙内側
内表紙
-
1
1
目次
-
2
3
<映画誌上公開>スター・トレック2 カーンの逆襲 井口健二
写真提供:CIC
4
7
(連載第37回)野田昌宏のセンス・オブ・ワンダーランド
 刻々と迫るシャトルの打ち上げをプレスサイトで待ち受ける人々
 そこに流れる親しみと連帯感これがまた、たまらないのだ‥……
野田昌宏 画:加藤直之
8
11
Sci-Fi Set 第19回 本邦初紹介!ボランの「ラーンの子ら」
 今、なぜかまた突然グラム・ロックが帰ってくるんやでぇ〜
難波弘之
12
15
(連載第5回)SPACE ILLUSTREK
 竜の卵:ロバート・L・フォワードより
 チーラ人と人類の初顔合せ
イラスト:錦織正宣
文:森田繁
16
16
(連載第2回)引き潮のとき
眉村卓 画:佐治嘉隆
17
31
広告 早川書房
 宇宙叙事詩(文:光瀬龍、画:萩尾望都)、
 NASA宇宙船野郎たち(野田昌宏)、
 画集:宇宙英雄ペリー・ローダンの世界(依光隆)
-
33
33
バベル2[BABEL II] デーモン・ナイト
 訳:冬川亘 画:天野義孝
34
57
夢の浅瀬 水見稜 画:横山宏
58
73
見張り コンラド・フィアウコフスキ
 訳:深見弾 画:岩淵慶造
74
85
ティハーマ[Tehama] ボブ・レマン
 訳:森下弓子 画:横山宏
86
105
(連載1回)SFセミナー
 都市から星へ アーサー・C・クラークとセンス・オブ・ワンダー
大野万紀 画:佐治嘉隆
106
111
中継ステーション
 「空想科学」宣言
柴野拓美
112
112
(連載2回)ビジュアルSFワールド
 ようこそ武器店へ
構成:井上博明 文:諏訪碧
画:錦織正宣、青井邦夫
113
119
(連載7回)奇書学入門講座 木乃伊幻想
會津信吾
120
120
コミック バランタインBANG-BANG 大野安之
121
136
トロイの木馬 中原涼 画:佐治嘉隆
137
147
真説シンデレラ物語[Ugly Sister]
ジャン・ストラザー
 訳:伊藤典夫 画:浅賀行雄
148
155
<特別読物>中国における日本SF 葉永烈 訳:林久之
156
160
SF SCANNER
 千階建てのビルディング by Jan Weiss(ヤン・ヴァイス)
深見弾
161
161
石原博士のSF研究室(24)
 読者大競演−の巻
石原藤夫 画:宮武一貴
162
174
リーダーズ・ストーリー  講評 選・評:星敬
175
175
リーダーズ・ストーリー  時縛霊 深谷吾一
176
177
安田均のアメリカSF情報(11)
 ファンタジイにもいろいろありまして
安田均
178
183
サイエンス・トピック
 未来の航空機
池見照二 画:佐治嘉隆
184
193
SFレビュウ 水鏡子 他
186
193
今月のブックガイド 星敬
194
195
てれぽーと
-
196
199
世界SF情報
 クラークの『2010年』、ベストセラーリストの二位へ
 スティーブン・キングの新作のアドヴァンスは一ドル(!)
 アンドレ・ノートンの77冊セット(!)発売される
 映画ニュース
島田武
200
200
広告 早川書房の出版本
-
201
208
サウンド・ファンタジー・コンテスト入選発表
 選考委員:津山絃一、北中正和、鏡明、今岡清
 入選作:第1席「風の翼にのせて」霜月空
     第2席「ばんば駆ける」入谷直子
     第3席「そして夢の国へ」根津宏明
-
209
209
(サウンド・ファンタジー・コンテスト入選第1席
風の翼にのせて
霜月空 画:新井苑子
210
225
今月のSFイベント
 第1回宇宙軍特別上映会、スーパー・スクール
北野吉樹、吉田真司
226
226
SF SCANNER
 Born to Exile(流浪の唄人)
 by Philis Eisenstein(フィリス・アイゼンシュタイン)
泉本和
227
227
最後の方程式 栗本薫 画:金森達
228
251
お知らせ 第9回ハヤカワ・SFコンテスト
 選考委員:眉村卓、石原藤夫、伊藤典夫
 入選第一席(20万円)、入選第二席(10万円)、入選第三席(5万円)
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252
お知らせ SFマガジンバックナンバー
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253
広告 ハヤカワ文庫NVフェア
 '83.2.10〜'3.31 全国4000書店で開催
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(連載第25回)SFエンサイクロペディア
 [G]ドイツ〜[G]ゴードン、レックス
編:ピーター・ニコルズ
 監修:浅倉久志、伊藤典夫
 訳:伊藤典夫
255
271
編集後記
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272
272
広告 国書刊行会
 深夜画廊、真ク・リトル・リトル神話大系
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表紙内側
広告 ニコンのチタン眼鏡フレーム
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裏表紙
凡例 :小説   :書評、SF関連の話題等   :投稿小説
   
:コミック :SF周辺の話題(アート、音楽、映画等)
   
:投稿   :早川書房からのおしらせ等
   
:広告