1982年2月号(283号)

ハヤカワSFマガジン283号表紙
(C) 早川書房
「創刊22周年記念特大号」ということで、400ページ、海外作品も6作掲載されています。

目次を見ると、まず大好きなアシモフの「チオチモリンと宇宙時代」目が行ってしまいます。原因が発生する前に反応を起こす、不思議な物質『チオチモリン』に関する評論風の作品。

この物質は水を加える1.12秒前に、水と反応するんです。この性質を利用すれば、直列接続によって翌日の確実な天気予報も出来るし、反応した後で容器に密閉して、そのままでは絶対に水と接触できないようにすることで、兵器としても利用できる、というような内容です(どうして、これが兵器になるかは各自で考えましょう!)。

アシモフってアイデアそのものもいいし。アイデアのプレゼン方法もいいんですよね〜。こっっちも読んでいて、どんどん想像が膨らんでくるんです。私がアシモフ作品に魅力を感じるのは、そこらへんに理由があるのかもしれません。

この他には、「窓」がいいです。偶然に開いた、過去への窓、古き良き時代の裕福で幸せそうな一家の邸宅が見えますが・・・・という作品。これ以上書くとネタバレになるので、ここまで。ちなみに、この作品はかつて読んだ記憶があります。

「アルジャーノンの逃亡」は、「アルジャーノンに花束を」を本歌取りしたような作品。知能を高められたネズミが出てきます。ただし、知能向上はウィルスを使用した実験の結果で、このネズミの逃亡が大きな事件を引き起こします。

「ここがウィネトカならきみはジュディ」も、なかなか読ませます。不連続に人生を生きる男の物語。『不連続』というのは、例えば、23歳2ヶ月から24歳6ヶ月までの人生を過ごした後、ある朝目覚めると、突然14歳3ヶ月の子供時代に帰っている、という具合で、周りの世界は時間の流れに沿っているのに、自分の意識は時をジャンプして人生を過ごしている、という具合です。この類の作品はこれ以外に読んだことがありません。独特のセンス・オブ・ワンダー作品です。確かにこのままでは亜流が作りにくそうですが、この男が不死人という設定にして、人類誕生から遙かな未来まで意識がランダムにジャンプする、なんて設定にすると、新たな冒険SFシリーズが出来そうな気もします。

「遥かなる賭」は、病死直前の妻を冷凍睡眠で保存するお話。結末がちょっとビターなのが気に入らないけど、ハッピーエンドではSFとしては物足りないかもしれません。読後感は悪くありません。

最後の「絶対機械」は人工生命体ないしは有機ロボットをテーマにした作品(と言っていいのか・・・うーん、自信がない)。はたして人工生命体が作品中に登場したのかどうかも不明です。SFのつもりで読むと違和感を感じます。心理ミステリーとでも分類すべき作品なのかもしれません。

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サイエンス・トピックは、通産省の肝いりで『第5世代コンピューター』の研究が始まるという話題。『(人間と)対話できる』コンピューターを作るのだそうです。そういえば、そんな時代もあったかしら。この研究、どんな成果を生んだのか定かではありませんが、目標は「IBM王国に一糸むくいる」ことだったようです。

1982年というと、米国でインターネットが生まれた時代でしょうか?『第5世代コンピューター』でIBMに一矢をむくいるなんて、完全に方向違いだったんですね。


全掲載内容
コンテンツ
作者
ページ
表紙イラストレーション 加藤直之
表紙
広告 三和銀行の小説広告「地球はSFワールド」
-
表紙内側
内表紙
-
1
1
目次
-
2
3
SF New Generation (第1回)森下一仁
-
4
7
(連載第6回)スペース・クラフト・ショップ
 MOL計画
 スペースシャトルなどの華々しく発表される宇宙計画に
 くらべて、軍事目的の計画は厚いヴェールに覆われている。
 今回はそれらのうちの一つMOL計画の秘密に迫る!
江藤巌
 画:横山宏、田中精美
8
15
DIMENSION O 戴くわ… イラスト:霜月象一
16
16
チオチモリンと宇宙時代 [Thiotimoline and the Space Age]
アイザック・アシモフ
 訳:浅倉久志 画:畑農照雄
17
25
エデン 神林長平 画:横山宏
26
31
メッセージ 岬兄悟 画:南陽子
32
48
広告 バンダイ
 サイエンス・ロマンの遭遇。ギャラクティカ。
-
49
49
ここがウィネトカならきみはジュディ
[If This is Winnetka,You Must Be Judy]
F・M・バズビイ
 訳:室住信子 画:野中昇
50
76
世界SF情報
 「フューチャー・ライフ」誌廃刊−その他の雑誌ニュース
 「ワールドSF」年間傑作選刊行を計画
 スポックを救え!(映画「スタートレック2」撮影開始)
島田武
77
77
アルジャーノンの逃亡 [Evadarea Lui Algernon] ギョルゲ・ササルマン
 訳:住谷春也 画:南陽子
78
97
遙かなる賭け [THE LONG CHANGE] チャールズ・シェフィールド
 訳:鵜飼裕章 画:坂口尚
98
117
特別版 スタジオぬえのスターシップ・ライブラリイ
 ラム・スクープ・シップ太陽系侵攻プログラム
文・資料:永瀬唯
イラスト・設定等:宮武一貴
協力:GALパック
118
129
(連載12回)我らが安息の日々 鏡明 画:岩淵慶造
130
146
広告 ハヤカワ文庫JA他
-
147
147
SF New Generation (第1回)森下一仁
-
148
152
広告 ハヤカワ文庫ダイナマイトフェア
 1981.12.10〜1982.1.31 全国4000書店で開催
-
153
153
石原博士のSF研究室(12)
 恒星船で生まれた人のために・その3
石原藤夫 画:宮武一貴
154
160
リーダーズ・ストーリー  講評 (今)
161
161
リーダーズ・ストーリー  先生様ぁ」 神崎裕
162
163
ベスト・オブ・リーダーズ・ストーリー  マルムシ 鈴木秀明
164
169
(連載第6回)スペース・クラフト・ショップ
 MOL計画
 スペースシャトルなどの華々しく発表される宇宙計画に
 くらべて、軍事目的の計画は厚いヴェールに覆われている。
 今回はそれらのうちの一つMOL計画の秘密に迫る!
江藤巌
 画:横山宏、田中精美
170
176
(新連載)イラスト・ファンタジイ
 竜の絃
構成・文:たかくらゆき
画:加藤直之
177
183
(新連載)FANTASY A LA CARTE
 ドラゴンの飛行原理
白鳥麗
184
184
(連載コミック)銀の三角
 第三部(三)異郷
萩尾望都
185
200
(連載第7回)レダ 栗本薫 画:野中昇
201
231
窓 [Window] ボブ・レマン
 訳:浅倉久志 画:新井苑子
232
248
お知らせ 第8回ハヤカワ・SFコンテスト
 選考委員:眉村卓、石原藤夫、伊藤典夫
 入選第一席(20万円)、入選第二席(10万円)、
 入選第三席(5万円)
-
249
249
絶対機械 [Absolutni storj] ヨゼフ・ネズヴァドバ
 訳:栗栖継 画:岩淵慶造
250
299
(連載第24回)野田昌宏のセンス・オブ・ワンダーランド
 SOWランドの秘密書類はこれだ
野田昌宏 画:加藤直之
300
303
(連載第14回)科学冒険時代
 昭和十年代後半のSF☆ぱぁと・つう
會津信吾
304
309
SF SCANNER
 宇宙の果てのレストランにて
大野万紀
310
313

サイエンス・トピック
 対話するコンピューター

池見照二 画:島津義晴
314
315
てれぽーと
-
316
319
SFレビュウ 中島梓 他
320
325
今月のブックガイド 星敬
326
327
お知らせ SFマガジンバックナンバー
-
328
328
広告 早川書房の出版本
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329
336
野生の夢
水見稜 画:横山宏
337
382
(連載第12回)SFエンサイクロペディア
 [C]クラーク、アーサー・C
  〜[C]宇宙植民(COLONIZATION OF OTHER WORLDS)
編:ピーター・ニコルズ
 監修:浅倉久志、伊藤典夫
 訳:鎌田三平
383
399
編集後記
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400
400
広告 三越(男性用スーツ)
-
表紙内側
広告 SONY(ベータマックスJ10)
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裏表紙
凡例 :小説   :書評、SF関連の話題等   :投稿小説
   
:コミック :SF周辺の話題(アート、音楽、映画等)
   
:投稿   :早川書房からのおしらせ等
   
:広告