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まず掲載作品から紹介すると、恒例の「ヒューゴー/ネビュラ賞特集」ということで、前年(1980年)の受賞作、および候補作が4作品掲載されています。 ちなみにノヴェル(長編)部門は、両賞ともクラークの「楽園の泉」で、これは前年にSFマガジンで連載済みなので、1980年の受賞作の大半が、SFマガジン誌上で紹介されたことになります。 掲載作品の中では、ジョージ・R・R・マーチンの2作品がお気に入りです。この人の作品の魅力は、冒頭どこか普通でないシチュエーションで読者を捕らえ、非日常的な美しいイメージで話に引き込むところでしょうか。 例えば、「龍と十字架の道」は、キリスト教の異端狩り担当牧師が、龍そっくりな姿をした異星人の司祭から、新たな異端の芽を狩り取るように指示される場面から始まります。 彼は異端の星に赴き、任務を成功させるのですが、異端であるとされた、悔い改めたユダを主人公とする美しいホラ話と、どう考えてもアダムとイブの末裔ではありえない異形の宇宙人にキリスト教の高位を与える現実を比べ、果たしてどちらが、より異端なのか、疑問を覚えずにはいられません。 「サンドキングス」のほうは、道楽で異星の虫を飼育する男の話。どちらも早川文庫SFの短編集に載っていますので、ぜひ一読あれ! このほか、「無伴奏ソナタ」もいいです。カード作品の場合は、出だしは、ややとっつきににくい面があるのですが、しばらくガマンして読むと、登場人物への共感が生まれ、楽しく読み進めることができます。読後に何かが残ります。 長編だと、「エンダーの世界」「死者の代弁者」あたりが「無伴奏ソナタ」に近い雰囲気で、主人公の内面の成長と葛藤がテーマです。もうちょっと気楽に読みたいのであれば「帰郷を待つ星」5部作(早川文庫SFで第2作まで出版済み)「反逆の星」(これも早川文庫SF)あたりがおすすめです。 特集作品のうち「ジャイ-アント」だけは、なぜ受賞したのか不思議です。タイトルの通り巨大アリをテーマにした作品。「宇宙線X」(謎の宇宙線によってアリが馬並のサイズに巨大化し人を襲う”SF”映画)をもじって作られたとのことです。そういう由来を聞くと「なるほど巨大アリを”まっとうな”SFに仕立てるとこういう作品になるのか、ふむふむ」とうなずくことはできますが・・・それだけの作品という感想です。 特集以外の海外作品は「始まりの前に戻ろう」というショートショート1本のみ。男の子と女の子が、バスに乗って「まだ名前が存在しないはるか彼方の土地」に行くお話。現代のおとぎ話といった風味の小品です。 ************************************ サイエンス・トピックによれば、この年の4月、日本時間で12日午後9時、世界初のスペースシャトル「コロンビア号」が打ち上げられました。耐熱タイルがはがれるという事故が起きたものの無事に打ち上げ成功。 冷戦時代のことですから、軍事目的が優先であるものの、「早ければ十数年後には観光目的の打ち上げが実現する予定」とあります。お値段は、一人当たり1千万円〜1億円と予測されております。時期は少しはずれたものの、大体当たりの予測ですね。 ************************************ 第二回吉川英治文学新人賞を栗本薫さんが受賞。第一回は田中光二さんですし、栗本薫さんは芥川賞も受賞していますから、このころ、ようやくSF作家が文学賞の対象になる時代に入ったようです。 ************************************ 最後に、もう一つおもしろかったのは、主婦の友社の広告記事「7つの謎と奇跡」です。「7つ」の中身は、南仏ルールドの奇跡、古代マヤとムー大陸の関連、ネス湖の怪獣、ブラジルの超能力者による奇跡の手術、ツングース謎の爆発、ファティマの太陽円盤、UFOといった次第。この手のネタって、ウソだとばれないかぎり永遠に不滅なんですね〜 |
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