1981年6月号(274号)

ハヤカワSFマガジン274号表紙
(C) 早川書房
今月の海外作品は、2作。そのうちの1つはディックの短編です。ディックの作品がSFマガジンに掲載されたのは、私が所有しているバックナンバーでは、これが最後です。

冷凍睡眠中の乗客を乗せた植民惑星行きの宇宙船で、たまたま事故により目覚めてしまった男の話。これもディックらしく、現実と夢との境界が次第に分からなくなる作品です。

もう一つの「草原の吸血鬼」は中央アジアの草原を住処とし医業を生業とする「ヴァーカラ族」の青年(?)「スパリーン」の物語。

スパリーンを主人公にした連作(作者が夭折したため3作しか書かれなかったようですが)の第1作です。第2作は、この年の11月号に掲載されています。

第2作を先に読んだときには、特に大きなドラマもなくたんたんと進む話がなんとなく物足りなかったのですが、今回はこういう作風も悪くないと思いました。

人の営みとは無関係に過ぎ去っていく広大な草原の時間を感じました。

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第7回を数える會津信吾さんの「科学冒険時代」、明治から昭和初期あたりまでのサイエンス・フィクションを紹介する連載ですが、今月号は、子供向け冒険小説雑誌を2つ紹介しています。うち「讀海」は大正9年から昭和19年まで続いた子供向け小説雑誌。かの山本周五郎氏も「危し!潜水艦の秘密」など、20作以上を発表されているそうです。

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「石原博士のSF研究室」のテーマは、「科学雑誌のブームは”?”である」です。このころ「COSMO81」「|ピュラー・サイエンス日本版」「NEWTON」等の科学雑誌があいついで出版されたようです。

「こういう雑誌を支える土壌が日本にはない。『COSMO81』が成功したからといって、各社が売れると思ってとびつくのは誤り。よほど使命感を持って取り組まないとつづかない」という論調でした。「やめろ」という意見ではなく、やるからには熱意を持って続けて欲しい、という氏の願いが読みとれました。

石原さんがこんなことをおっしゃるのも理由があります。1970年代の終わり頃にSFがブームになり、SFアドベンチャー、SF宝石と、次々にSFマガジンのライバル紙が出現したものの、ブームが沈静化するやいなや、SF宝石がはやばやと休刊してしまったことを嘆いての発言のようです。私も、この両雑誌は創刊号から毎号購入していました。ですから休刊の際にはとても寂しい思いをしたことを覚えています。特に、SFアドベンチャーは名前通りに娯楽に徹していて、真幻魔大戦などのビッグネームの作品が楽しめました。

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サイエンス・トピックによると、このころ「スチールカラー」という新語ができたそうです。これは、ブルー・カラー、ホワイト・カラー同様、労働者を分類する用語で、産業用ロボットを指す言葉なのだとか。1980年はロボット普及元年だったそうです。ロボットは進化を続けていますが、「スチールカラー」は死語ですね〜

最後に、たまたま書評欄で、小室直樹「アメリカの逆襲ー宿命の対決に日本は勝てるかー」という本が紹介されていました。『アメリカ・ソ連が弱体化する中、このまま日本が躍進をつづけると、米ソが手を組んで日本つぶしを行う恐れがある、その時、日本は米ソ連合に勝てるだろうか?』というような内容のようです。日本が異常な自信に満ちていた時代でした。


全掲載内容
コンテンツ
作者
ページ
表紙イラストレーション 加藤直之
表紙
広告 三和銀行の小説広告 スーパーマンの後悔
-
表紙内側
内表紙
-
1
1
目次
-
2
3
(連載第7回)科学冒険時代
  <讀海>と<日本少年>
會津信吾
4
9
(連載第19回)野田昌宏のセンス・オブ・ワンダーランド
 はやく飛べ!飛べ!<コロンビア>
野田昌宏 画:加藤直之
10
13
(連載第33回)スタジオぬえのスターシップ・ライブラリイ

文:永瀬唯 絵:宮武一貫

14
15
DIMENSION O シャー! イラスト:霜月象一
16
16
まだ地上的な天使
亀和田武 画:新井苑子
17
38
世界SF情報
 80年代の米国SF出版点数、頭打ち
 ネビュラ賞ノミネーション発表
 ガードナー・ドゾア、映画に出演(?)
島田武
39
39
草原の吸血鬼[Spareen Among The Tartars]
スーザン・C・ピートリイ
  訳:室住農子 画:岩淵慶造
40
55
リヴィング・インサイド・ユア・ラヴ
大原まり子 画:加藤直之
56
81
(連載5回)我らが安息の日々 鏡明 画:岩淵慶造
82
111
広告 依光隆画集 宇宙英雄ペリー・ローダンの世界
 6月下旬初版 予価1,500円
-
112
112
(連載)トワイライト・ワールズ
 誕生(4)
天野嘉孝
113
119
AWARD A LA CARTE (5)
 ブームのフランスSFを代表する
 アポロ賞とフランスSF大賞
安田均
120
120
(連載コミック)銀の三角
 第二部(一)マーリー・2
萩尾望都
121
136
優しい接触
栗本薫 画:佐治嘉隆
137
155
凍結した旅[The Frozen Journey] フィリップ・K・ディック
  訳:美濃透 画:南陽子
156
173
石原博士のSF研究室(4)
 科学雑誌のブームは”?”である
石原藤夫 画:宮武一貴
174
179
サイエンス・トピック
 スチールカラー軍団
池見照二 画:島津義晴
180
181
Sci-Fi Set 第2回 イメージ情報の伝達マップ 難波弘之
182
185

SF SCANNER
 風向きの変わってきたソ連の出版事情

深見弾

186
189
てれぽーと
-
190
193
SFレビュウ 大宮信光 他
194
199
今月のブックガイド
-
200
200
広告 早川書房の出版本
-
201
208
お知らせ SFマガジンバックナンバー
-
209
209
ショート・ショート・コーナー ぬすまれた視界
岬兄悟 画:霜月象一
210
214
リーダーズ・ストーリー  講評
-
215
215
リーダーズ・ストーリー  非情の方程式 木宮敬
216
217
忙殺 神林長平 画:横山宏
218
253
(連載第4回)SFエンサイクロペディア
 [A]アステロイド 〜[A]エーメ、マルセル
編:ピーター・ニコルズ
 監修:浅倉久志、伊藤典夫
 訳:大野万紀
254
271
編集後記
-
272
272
広告 レコード「タキオン/タキオン」
-
表紙内側
広告 浅田飴
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裏表紙
凡例 :小説   :書評、SF関連の話題等   :投稿小説
   
:コミック :SF周辺の話題(アート、音楽、映画等)
   
:投稿   :早川書房からのおしらせ等
   
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