1980年12月号(268号)

ハヤカワSFマガジン268号表紙
(C) 早川書房
先ず、簡単な作品紹介から。

「トウィンク」は、胎児(自分の娘)とテレパシー交信できる男のお話。無事に出産に至るまでの、この男の内面の不安をつづった作品です。

「琴蜘蛛の歌」は、期待の新鋭、スーザン・C・ピートリイの処女作で本邦初紹介作品でもあります。彼女は、この数ヶ月後に自宅で夭折されました。そんな事情もあったせいか、彼女の他の作品2作(どちらも中央アジアの吸血獣医スパリーンをテーマにした作品)ともSFマガジンに紹介済みです。

(以下 2004.2.28 追記)
スパリーン作品についてはそれほど感銘を受けなかったのですが、この「琴蜘蛛の歌」を読んでみて初めてピートリイの才能に気づきました。

木の穴の中に巣を張って音楽を奏でるという1匹の「琴蜘蛛」が主人公です。(そんな虫がホントにいるのかどうかは不明です)

この琴蜘蛛は、ひょんなことでリュートの中に住み着くことになります。リュートを手に入れた少女が成長して恋を知り、恋人と別れて音楽の道を選び、そして新人音楽コンクールに優勝するまでの姿が、琴蜘蛛の視点から描かれています。

テーマは「デュエット」でしょうか?若い恋人達の恋と2匹の琴蜘蛛の恋が琴蜘蛛の糸によって絡まり合い、デュエットしているかのように流れている、といった感じの繊細で美しく、かつ見事に組み立てられたお話です。今更ながら作者の夭折が惜しまれます。
(以上 2004.2.28 追記)

作品紹介おわり!!

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実は、今月号で一番面白かったのは、岬兄悟さんの「電話魔」のイラストでした。昔ながらの黒電話なんです〜。もう今では見たいと思っても簡単には探し出せないであろう、ダイヤル式の家庭用電話。

かつては、電話機は電電公社の独占事業で、電話機を買うのではなく、電話契約をすると黒い電話機が支給(貸し出し?)される方式でしたよね。

多分、この数年後に電話機販売が自由化され、それから急速にプッシュ式のカラフルな電話に置き換わっていきました。その後も電話機能は急速に変化が進み、我が家の電話も現在はFAX付きです。もうすぐ、インターネット常時接続電話・モニター付きなんてのが普通になるかも。

黒電話のイラストを眺めながら、そんな妄想が浮かんだひとときでした。

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「科学冒険時代」の連載開始。著者の自己紹介によれば、昭和34年生まれ、執筆時点で20歳の大学生だそうです。「もうすぐ解散する」ピンクレディー、マンガまことちゃん、映画はブルース・リー、野球は王選手のファンとのこと。まだ王選手が現役だったんですね。

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「サイエンス・トピックス」のタイトルは「寒冷化か温暖化か」。”近年の”地球規模での気候異変についての解説です。今でこそ「二酸化炭素による温室化現象のため地球は温暖化しつつある」というのは(それが真実なのか誤りなのかは別にして)半ば常識だと思いますが、この当時は、寒冷化、温暖化ともそれぞれ支持する説があり、論争真っ盛りだったようです。

寒冷化の有力説は「地球は氷河期終了以降、数百年周期で温暖化と寒冷化を繰り返しており、今は寒冷化に向かっている」というもの。一方、温暖化の有力説は前記の二酸化炭素蓄積説です。そういえば、高校生の国語の教科書にも(1972年頃)二酸化炭素による「グリーン・ハウス・イフェクト」のために地球は暖かくなりつつある、という科学解説が載っていましたが、授業では「最近の気温上昇は火山噴火による影響が大きく、実際には小氷河期に向かって寒冷化しつつある」という話を聞いた記憶があります。

温暖化派が主流になったのはいつ頃からだったのでしょうか?そして真実はいかに?


全掲載内容
コンテンツ
作者
ページ
表紙イラストレーション 加藤直之
表紙
広告 三和銀行の小説広告 緑式部タイムトラベル日記 巻七
-
表紙内側
内表紙
-
1
1
目次
-
2
3
(連載)銀河旅行と特殊相対論
 章13 光世紀船は不滅である
石原藤夫 画:宮武一貫
4
9
'80年世界SF大会レポート(写真)
-
10
13
(連載第27回)スタジオぬえのスターシップ・ライブラリイ

文:永瀬唯 絵:宮武一貫

14
15
イメージのジャンク・ボックス 角田純男
16
16
黄金の方程式
豊田有 画:宮武一貫
17
32
お知らせ 第7回「ハヤカワ・SFコンテスト」
 選考委員:小松左京、眉村卓、石原藤夫、伊藤典夫
 入選第一席(20万円)、入選第二席(10万円)、
 入選第三席(5万円)
-
33
33
トウィンク[TWINK]
シオドア・スタージョン
 訳:伊藤典夫 画:野中昇
34
48
広告 早川書房
 光瀬龍フェア
-
49
49

なぜか、アップ・サイド・ダウン

鈴木いづみ 画:岩淵慶造

50
76
世界SF情報
 ホワイト、ヘヴィー・メタルを去る
 ディッシュ、1980年度ジョン・W・キャンベル賞を受賞
 SF映画賞(SF映画部門:エイリアン)
 ギャラクシイ誌、ようやく再出発
 作家ニュース(ジョーン・D・ヴィンジの結婚式 他)
島田武
77
77
[ショート・ショート・コーナー]電話魔 岬兄悟 画:佐治嘉隆
78
81
ビートルズが好き
神林長平 画:角田純男
82
88
(連載)銀河旅行と特殊相対論
 章13 光世紀船は不滅である
石原藤夫 画:宮武一貫
89
107
(連載第13回)野田昌宏のセンス・オブ・ワンダーランド
 《続の続の続の続》
 われわれはついに戦艦〈ヤマト〉を発見した!
 と確信しているのだが……
野田昌宏 画:加藤直之
108
112
(連載)スペース・スキャンダル IV 深井国
113
119
CHARCTER A LA CARTE (5)
残り少ないホーカ・シリーズ早く新作を書いてくれ。
安田均
120
120
(連載コミック)銀の三角
 第一部(一)いのりのあさ
萩尾望都
121
136

(連載第10回)錆びた銀河

光瀬龍 画:金森達

137
153
琴蜘蛛の歌[Spidersong] スーザン・C・ピートリイ
 訳:室住信子 画:高倉ゆき
154
167
題名未定新コラム(21) 森下一仁 画:高信太郎
168
169
(新連載)科学冒険時代
 宮崎一雨

會津信吾

170
177
リーダーズ・ストーリー 講評
豊田有恒
178
179
リーダーズ・ストーリー 海の略奪者 山本弘
180
181

SF SCANNER
 レデリック・ポールの「JEM」は傑作だァ!

安田均
182
185
サイエンス・トピック
 寒冷化か温暖化か
池見照二 画:島津義晴
186
187
SFレビュウ 鏡明 他
188
194
今月のブックガイド
-
195
195
てれぽーと
-
196
199
お知らせ SFマガジンバックナンバー
-
200
200
広告 早川書房の出版本
-
201
208
広告 早川書房
 宇宙叙事詩(文:光瀬龍 画:萩尾望都)
-
209
209
'80年世界SF大会レポート

武田康廣、岡田斗司夫、澤村武伺

210
216
ハローファングループ
 北極星人
-
217
217
<ローラ・スコイネルの怪物>ーB級怪物映画ファンたちへー 梶尾真治 画:新井苑子
218
229
道端の溝の中で殺した 大原まり子 画:加藤直之
230
271
編集後記
-
272
272
広告 サンディーはMETA(レコード?)
-
表紙内側
広告 ビジコンのペン・ウォッチ
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裏表紙
凡例 :小説   :書評、SF関連の話題等   :投稿小説
   
:コミック :SF周辺の話題(アート、音楽、映画等)
   
:投稿   :早川書房からのおしらせ等
   
:広告