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さすがに、この分量すべてを科学解説に費やしたのでは読者がついて来られないだろう、という配慮でしょうか、冒頭の数ページは、軽いエッセイです。著者の身の回りのできごとが書かれているだけで、当時は読み過ごしていたと思うのですが、読み返してみると、世相が現れていて、これがオモシロイ。 例えば今月号の出だしは「江ノ島の砂浜では夜11時を過ぎると完全ヌーディストの娘さん達が夏を楽しんでいる。時代は変わった。」という話で始まります。「ヌーディスト」っていう言葉自体が懐かしいですね〜。 そう言えば、街中でいきなり全裸になって走り出す「ストリーキング」なんていう現象もありました。いつだったか、プロ野球の試合中に、観客がグラウンドに降りて、ストリーキングをはじめた、という事件もありましたっけ。 あからさまにセックスを口にしてはならない時代の末期だったのでしょう。だからこそ、「完全ヌーディスト」なんていうのが、社会への反逆精神を現していたのだと思います。そう言えば、これより更に10年前、高校の文化祭で「婚前交渉の是非について」なんていうテーマをマジメに議論したのも懐かしい思い出です・・・ 「SF読者の急ピッチな拡大がはじまったこの6,7年の間に本誌創刊号からの愛読者だった本格プロパー純正熱烈SFファンのかなりの人達が、購読をやめていった」という記述もあります。1974年頃からSFブームが始まり、SF映画も大流行の時代でした。 そんな感傷にひたったところで掲載作品をながめてみると、不思議と「時代」を感じさせるものに気付きます。岬兄悟さんの「チャンネル」。作品中に「TVのチャンネルをガチャンガチャンと回す」という表現があります。 東京オリンピックの年(1964年)、ご多分に漏れず、私の家のお茶の間にも白黒テレビが設置されました。父は後日「あの時は『こんな高いものを買うのは最初で最後』という決意で購入したんだ」と言ってたっけ。ダイヤル式チャンネルでしたが、これが結構ひんぱんに壊れて、何回かチャンネルだけを修理してもらっていました。その12年後、私が就職した頃になってもダイヤル式が主流でした。 高校生の頃だったか、リモコンが売り出されたけれど、さっぱり売れないと言う話も聞きました。母がリモコンのコマーシャルを見て「こんなもの、誰が買うんだろ?」と不思議そうにつぶやいていた。いったいどういうわけでリモコン全盛になったのでしょうか?家族団らんの場が、「お茶の間」からLDKに移ったことと関係があるのでしょうか? ************************ 掲載作品をざっと紹介します。「死の情景」は、誰もが一日後を予知できるようになった世界の話。自分の死を悟った初老の男と家族の平和な一日が描かれています。「柳が歩き出す前に」は、友人の遺産をだまし取ろうとした男が、柳の木に復讐される話です。SFというより、ホラーに近い読後感です。 ************************ 霜月象一さんの、連載イラスト「DIMENSION 0 」は今月でいったん終了しますが、この後、復活しました、珍しいパターンです。あの独自の絵が好きな読者が多かったためでしょうか? 第6回「ハヤカワ・SFコンテスト」授賞式の記事も載っていますが、受賞者については、9月号の紹介でお知らせします。 |
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