1980年10月号(265号)

ハヤカワSFマガジン265号表紙
(C) 早川書房
石原藤夫さんの連載解説「銀河旅行と特殊相対論」が面白い。この解説、巻頭のグラビアページと、雑誌なかほどの普通の紙ページを使っているのですが、何と合わせて30ページ以上の分量。SFマガジン全体の1割以上を費やして掲載しているわけです!

さすがに、この分量すべてを科学解説に費やしたのでは読者がついて来られないだろう、という配慮でしょうか、冒頭の数ページは、軽いエッセイです。著者の身の回りのできごとが書かれているだけで、当時は読み過ごしていたと思うのですが、読み返してみると、世相が現れていて、これがオモシロイ。

例えば今月号の出だしは「江ノ島の砂浜では夜11時を過ぎると完全ヌーディストの娘さん達が夏を楽しんでいる。時代は変わった。」という話で始まります。「ヌーディスト」っていう言葉自体が懐かしいですね〜。

そう言えば、街中でいきなり全裸になって走り出す「ストリーキング」なんていう現象もありました。いつだったか、プロ野球の試合中に、観客がグラウンドに降りて、ストリーキングをはじめた、という事件もありましたっけ。

あからさまにセックスを口にしてはならない時代の末期だったのでしょう。だからこそ、「完全ヌーディスト」なんていうのが、社会への反逆精神を現していたのだと思います。そう言えば、これより更に10年前、高校の文化祭で「婚前交渉の是非について」なんていうテーマをマジメに議論したのも懐かしい思い出です・・・

「SF読者の急ピッチな拡大がはじまったこの6,7年の間に本誌創刊号からの愛読者だった本格プロパー純正熱烈SFファンのかなりの人達が、購読をやめていった」という記述もあります。1974年頃からSFブームが始まり、SF映画も大流行の時代でした。

そんな感傷にひたったところで掲載作品をながめてみると、不思議と「時代」を感じさせるものに気付きます。岬兄悟さんの「チャンネル」。作品中に「TVのチャンネルをガチャンガチャンと回す」という表現があります。

東京オリンピックの年(1964年)、ご多分に漏れず、私の家のお茶の間にも白黒テレビが設置されました。父は後日「あの時は『こんな高いものを買うのは最初で最後』という決意で購入したんだ」と言ってたっけ。ダイヤル式チャンネルでしたが、これが結構ひんぱんに壊れて、何回かチャンネルだけを修理してもらっていました。その12年後、私が就職した頃になってもダイヤル式が主流でした。

高校生の頃だったか、リモコンが売り出されたけれど、さっぱり売れないと言う話も聞きました。母がリモコンのコマーシャルを見て「こんなもの、誰が買うんだろ?」と不思議そうにつぶやいていた。いったいどういうわけでリモコン全盛になったのでしょうか?家族団らんの場が、「お茶の間」からLDKに移ったことと関係があるのでしょうか?

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掲載作品をざっと紹介します。「死の情景」は、誰もが一日後を予知できるようになった世界の話。自分の死を悟った初老の男と家族の平和な一日が描かれています。「柳が歩き出す前に」は、友人の遺産をだまし取ろうとした男が、柳の木に復讐される話です。SFというより、ホラーに近い読後感です。

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霜月象一さんの、連載イラスト「DIMENSION 0 」は今月でいったん終了しますが、この後、復活しました、珍しいパターンです。あの独自の絵が好きな読者が多かったためでしょうか?

第6回「ハヤカワ・SFコンテスト」授賞式の記事も載っていますが、受賞者については、9月号の紹介でお知らせします。


全掲載内容
コンテンツ
作者
ページ
表紙イラストレーション 加藤直之
表紙
広告 三和銀行の小説広告 緑式部タイムトラベル日記 巻五
-
表紙内側
内表紙
-
1
1
目次
-
2
3
(連載)銀河旅行と特殊相対論
 章11 銀河鉄道999はこう変形する
 −奥行きのある物体の外観変化について−
石原藤夫 画:宮武一貫
4
13
(連載第25回)スタジオぬえのスターシップ・ライブラリイ

文:宮武一貫 絵:宮武一貫

13
15
DIMENSION O 前へ… イラスト:霜月象一
16
16

(連載第8回)錆びた銀河

光瀬龍 画:金森達

17
29
かけすと拳銃

滝原満 画:角田純男

30
45
[ショート・ショート・コーナー]
チャンネル
岬兄悟 画:霜月象一
46
49
[ショート・ショート・コーナー]
死の情景[Death Scene]

クリフォード・D・シマック
 訳:谷口高夫 画:新井苑子

50
54
盛況! 高千穂遙サイン会 ー北海道篇ー (今)
55
55
議事ひきのばし

かんべむさし 画:楢喜八

56
66
佐・々・木・ケ・ン・の・フ・ァ・ン・タ・ジ・ア
佐々木ケン
67
67
柳が歩き出す前に[Before Willoes Ever Walked] トム・ゴドウィン
 訳:風見潤 画:岩淵慶造
68
84
広告 ハヤカワ・ミステリフェア
 全国4000書店にて開催 9.15-10.31
-
85
85
武部画伯追悼特集 武部本一郎画伯を偲ぶ 依光隆
86
87
武部画伯追悼特集 武部本一郎画伯を偲ぶ 金森達
87
88
武部画伯追悼特集 武部本一郎画伯を偲ぶ 野田昌宏
88
89
武部画伯追悼特集 武部本一郎画伯を偲ぶ 加藤直之
89
89
武部画伯追悼特集 武部本一郎画伯を偲ぶ 中島梓
90
91
世界SF情報
 ファンタスティック誌廃刊
 米SF出版界不況期に入る?
 アナログ・アシモフズマガジン両誌、年十三回発行へ!
 ローカス賞発表
 (ノヴェル:「タイタン」ジョン・ヴァーリイ
  ノヴェレット:「サンドキングズ」R・R・マーティン 他)
島田武
92
92
(連載)銀河旅行と特殊相対論
 章11 銀河鉄道999はこう変形する
 −奥行きのある物体の外観変化について−
石原藤夫 画:宮武一貫
93
112
(連載)スペース・スキャンダル II 深井国
113
119
武部画伯追悼特集 永遠の名場面  画:武部本一郎
120
123
(連載第11回)野田昌宏のセンス・オブ・ワンダーランド
 《続の続》
 われわれはついに戦艦〈ヤマト〉を発見した!
 と確信しているのだが……
野田昌宏 画:加藤直之
124
127
CHARCTER A LA CARTE (3)
ニーヴンはひょっとしたらユーモア作家じゃないのだろうか。
安田均
128
128

(連載第9回)楽園の泉[The Fountain of Paradise]

アーサー・C・クラーク
 訳:山高昭 画:加藤直之
129
145
(連載第11回)野田昌宏のセンス・オブ・ワンダーランド
 《続の続》
 われわれはついに戦艦〈ヤマト〉を発見した!
 
と確信しているのだが……
野田昌宏 画:加藤直之
146
147

騎士の価値を問うな

神林長平 画:依光隆
148
164
ハローファングループ
 ミュータンツ
(今)
165
165
リーダーズ・ストーリー 講評
豊田有恒
166
167
リーダーズ・ストーリー ロボットの足 飛鳥了
168
169

SF SCANNER
 80年代のブラッドベリと評判のジョン・クローリイ

米村秀雄
170
173
お知らせ 第7回「ハヤカワ・SFコンテスト」
 選考委員:小松左京、眉村卓、石原藤夫、伊藤典夫
 入選第一席(20万円)、入選第二席(10万円)、
 入選第三席(5万円)
-
174
174
お知らせ 第6回「ハヤカワ・SFコンテスト」授賞式 (今)
175
175
題名未定新コラム(19) 梶尾真治 画:高信太郎
176
177
サイエンス・トピック
 日本最古の化石発見
池見照二 画:島津義晴
178
179
難波弘之のトラック・ダウン(8)
 今回は「SF音コン」の御紹介を
難波弘之
180
181
SFレビュウ 五郎丸健 他
182
187
今月のブックガイド
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188
188
お知らせ SFマガジンバックナンバー
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189
てれぽーと
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190
192
広告 早川書房の出版本
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193
200
'80 SF大会レポート
 第19回日本SF大会 TOKON VII

田中由利

201
205
'80 SF大会レポート
 第7回星群祭

石坪光司

206
207
'80 SF大会レポート
 第1回日本ペリー・ローダン大会 ROHCON'80

塩沢俊也

207
207
<火星シリーズ・最終回>火星人たちの栄光 川又千秋 画:金森達
208
231
編集後記
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232
232
広告 サンディーはMETA(レコード?)
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表紙内側
広告 ビジコンのペン・ウォッチ
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裏表紙
凡例 :小説   :書評、SF関連の話題等   :投稿小説
   
:コミック :SF周辺の話題(アート、音楽、映画等)
   
:投稿   :早川書房からのおしらせ等
   
:広告