1980年02月号(257号)

ハヤカワSFマガジン257号表紙
(C) 早川書房
今月号は、作品的には大満足の特大号です。先ず、海外作家については、『最後の』作品を連載中のクラーク、短編はアシモフ、ル・グィン、ニーヴン、ゼラズニイ、バラードと好みの大御所の名前がずらり。

日本作家の方も、大好きな星新一さんのショート・ショート(キレはいまいち)に、このころ結構好きだった、豊田有恒さんの短編など、読み応えたっぷりでした。

ただし、海外作品の出来映えについては、全体的にもう一息という感じかなー。これはスゴイと感服するほどのものはなかったような気がします。

海外作品のベストはル・グィンの「視野」でしょうか。火星の遺跡探索中に人知を超えた感覚を手に入れた3人の宇宙飛行士の物語が、たんたんと語られます。結末のインパクトが弱いと感じるのは、私がキリスト教徒でないためか?

アシモフの「光の韻律」はロボットものの番外作品。光彫刻(?)芸術で名高い貴婦人が殺人を犯すお話。ミステリーではなくて、オチのあるショート・ショート。粗筋めいたことをちょっとでも書くとネタバレになりそうなので、これ以上は紹介できません。

「帝国の遺物」はノウン・スペース・シリーズの1作。人類がクジン人との戦争に勝利し、ノウン・スペースが拡大しつつある時代(推定 西暦2640年頃)が背景。地球人が、たまたまある惑星で超古代宇宙帝国の遺物を発見。これを横取りしようとするクジン海賊と争奪戦を繰り広げるお話です。軽く楽しめます。

「ソロモン王の指輪」は、異星人との意思疎通能力を持つ調査員のお話。ある惑星調査中に起きた事件の顛末を精神分析医に語った話を恋人宛の手紙に書き記した、という手の込んだ叙述スタイルをとっています。作品としての完成度は高いと思うのですが、おもしろいかと聞かれると「うーん」と首をかしげます。

「夢の海、時の嵐」は、辺境惑星の海辺で、逃亡犯と追跡してきた警察官が対峙するお話。夕刻になると、時の風が「白鯨」のエイハブ船長の船や、「さまよえるオランダ人」の船などの幻影を運んできます。そのあたりがバラードらしい作品・・・かな?

***************************

サイエンス・トピックのタイトルは「マイコントピア」。記事によると、東京で、ある電気メーカーのオフィス・オートメーション・フェアがあったとのことで、このフェアの内容紹介です。

会場には、目玉の一つとして、1980年代のオフィスがおかれており、ここにはファイルが全くなく、机の上にマイコンを組み込んだキーボードとブラウン管が並んでいたそうです。

「マイコンを組み込んだキーボード」というのが時代を感じさせます。このころは、大きなキーボードの中にパソコン本体を組み込む方式が主流でした。

また、「ファイルが全くなく」というのも、かつての『未来のオフィス』の典型的な想像図でしたね。オフィスから紙がなくなる、なんて話が真剣に語られていました。

近未来の社会予測として、「風呂屋の番台までマイコンが進出」「音声認識も実用化」「出先にいて、家庭に泥棒が入ったことも分かる」「外出中にエアコンのスイッチも入れられる」「住所録、レシピまで自宅のコンピューターで管理」等々、上げられています。この予測、あたらずといえども遠からず、というところでしょうか。ただし、風呂屋については、パソコンの進出を待たずして、ほぼ絶滅してしまったようです。(つい20年前には、住宅地の一角を歩くと銭湯を見かけたのが懐かしい)

記事は、「注意しないと、コンピューターの記憶をいじるような新手の詐欺が起きる可能性もある」といった警告で結ばれています。これは慧眼でした。


全掲載内容
コンテンツ
作者
ページ
表紙イラストレーション 加藤直之
表紙
広告 三和銀行の小説広告
 ミドリちゃんファミリー騒動記(3)
-
表紙内側
内表紙
-
1
1
目次
-
2
3
(連載)銀河旅行と特殊相対論
 章3 見えない世界での冒険 −未知恒星の話−
石原藤夫 画:宮武一貫
4
11
(連載最終回)SF映画講座
 1945年 ひとまずお別れを……
井口健二
12
16
<巻頭エッセイ>
 日本に於けるSF その過去・現在・未来
矢野徹 画:千葉たかし
17
26
SFマガジン創刊20周年記念 読者プレゼント
 1等賞品(1名)世界SF全集全35巻
 2等賞品(10名)SFマガジン1年分
 3等賞品(100名)SFマガジンTシャツ
-
27
27

(連載第1回)楽園の泉[The Fountain of Paradise]

アーサー・C・クラーク
 訳:山高昭 画:加藤直之
28
53

新年詣霊長惑星(はつはるやさるのわくせいもうで)

豊田有恒 画:金森達

54
69
<ミニ・インタビュウ> 二十周年を語る

小松左京
インタビュアー:編集部、高千穂遙

70
73

ぱッぱッぱ計画

野田昌宏 画:細野不二彦

74
89

光の韻律[Light Verse]

アイザック・アシモフ
 訳:望月二郎 画:中島靖侃
90
94
DIMENSION O 鏡 その二 イラスト:霜月象一
95
95

<エッセイ> あの頃とSFマガジン

光瀬龍

96
98
広告 ダイナマイト1000
 (ハヤカワ文庫創刊10周年記念フェア)
 全国4000書店 1979.12.10〜1980.1.31
-
99
99

百光年ハネムーン

梶尾真治 画:新井苑子

100
117

いと

岬兄悟 画:霜月象一

118
127
(連載)銀河旅行と特殊相対論
 章3 見えない世界での冒険 −未知恒星の話−
石原藤夫 画:宮武一貫
128
144
(連載)メタル・メタフィジーク(5)
魚の収穫

吾妻ひでお

145
151

SF SCANNER
 ヴォネガットの描いた心やさしい社会革命

安田均

152
155
(連載第4回)野田昌宏のセンス・オブ・ワンダーランド
 センス・オブ・ワンダーランドは荒らされていくばかり……
野田昌宏 画:加藤直之
156
159
BNF A LA CARTE (1)
B.ギレスピーはいま最も注目される国
オーストラリアのBNF10年選手だ。

安田均

160
160
山道

星新一 画:真鍋博

161
165

<火星シリーズ・第3回>火星人たちの秘界

川又千秋 画:金森達

166
189

サイエンス・トピック
 マイコントピア

池見照二 画:島津義晴
190
190

帝国の遺物[A Relic of Empire]

ラリイ・ニーヴン
 訳:小隅黎 画:岩淵慶造
191
209
美獣シリーズ 原野の電光狼<前篇> 高千穂遙 画:加藤直之
210
245

夢の海、時の風[Tomorrow Is a Million Years]

J・G・バラード
 訳:美濃透
246
257
<外惑星野郎ども・第4回>後れた火星便 今日泊亜蘭 画:金森達
258
268
世界SF情報
 再びブームか、SF百科事典
 SF雑誌ニュース二題
 ちょっと変わったSF賞

安田均

269
269

ソロモン王の指輪[King Solomon's Ring]

ロジャー・ゼラズニイ
 訳:黒丸尚 画:依光隆
270
288
ラーギニー 萩尾望都
289
304
スペオペかえるとび かんべむさし 画:楢喜八
305
317
おれの地平線 −冒険SF私考− 田中光二
318
321
雨天ブルーバードの飛ぶ 野阿梓 画:瑞原芽理とその他
322
365
題名未定新コラム(11) 横田順彌 画:高信太郎
366
367

宇宙猿の手

堀晃 画:佐藤道明

368
381

視野[The Field of Vision]

アーシュラ・K・ル・グィン
 訳:浅倉久志 画:岩淵慶造
382
400
とじこみハガキ(SFマガジン20周年記念愛読者カード)
-
-
-

広告 早川書房の出版本

-
401
408

てれぽーと

-
409
411
リーダーズ・ストーリー 講評
豊田有恒
412
413
リーダーズ・ストーリー
 切断手術、講義中、男の秘密、八百三十七代目の
前首統蔵
414
415
(連載第17回)スタジオぬえのスターシップ・ライブラリイ

文:長谷川正治、青井邦夫
 絵:青井邦夫

416
417
SFレビュウ 森下一仁 他
418
424
今月のブックガイド
-
425
425

エンゼル・ゴーホーム

栗本薫 画:桜井一

426
457
(連載第1回)長い暁 眉村卓 画:佐治嘉隆
458
471
編集後記
-
472
472
広告 シュガーカット
-
表紙内側
広告 浅田飴
-
裏表紙
凡例 :小説   :書評、SF関連の話題等   :投稿小説
   
:コミック :SF周辺の話題(アート、音楽、映画等)
   
:投稿   :早川書房からのおしらせ等
   
:広告