1979年6月号(248号)

ハヤカワSFマガジン248号表紙
(C) 早川書房
日本SFこてん古典は、半年ぶりの登場です。作者の横田順彌氏(通称ヨコジュン)曰く「半年も経つと世の中も変わる。半年前の首相はホーホー氏、今はアーウー氏・・・」。

いつもながら、この人、表現が面白いです〜。「首相がホーホー氏からアーウー氏に変わった」なんて、「変わったと言ってもその程度の違いしかない」という皮肉も効いていて秀逸。ただし、同時代人でないと意味が分からないのが難点でしょうか。

なお、日本SFこてん古典の、この後のマクラは「江川投手の事件」の話題です。某球団が「ドラフト制度の空白の一日(この当時、ドラフト指名の期限が、翌年のドラフト会議の前々日までとなっており、一日間だけ、野球協約上、拘束の定めのない空白日があった)」を利用して、江川投手を、ドラフト外で入団させた事件。たしか、国会でも討議されてました・・

巨人入団後(!)のドラフト会議で阪神が江川投手を指名したのですが、最終的には両球団の間で和解が成立し、阪神の江川と巨人の小林をトレードする、という決着になりました。

同じヨコジュンの「題名未定新コラム」。「いつ題名が決まるの?」というお便りが多数来るが、何時までも決まらない。なぜなら、「題名未定新コラム」というのが題名だから、とのこと。このコラム、ヨコジュンとその友達が好き勝手なことを垂れ流しにする、井戸端会議風の2ページものです。栗本薫さん等が、全く飾らない文章を載せてたり、けっこう面白かったです。

栗本薫さん、といえば、本号に、GUIN SAGA の一遍「癩伯爵の砦」を掲載。「癩(らい)」という言葉に時代を感じます。今私が使っているATOK14 では「らい」と入力しても、この字はでませんからね。1970年代では普通の言葉だったのですが、「癩病」という病名も、「ハンセン氏病」に代わり、もう今では完璧な古代の差別用語なのでしょう。

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(以上、2001年9月頃記録 以下、2004.7.24追記)

今月の海外作品は、ジョン・スラディック特集(短篇3作品を掲載)と、ルイス・パジェットの「うぬぼれロボット」の2つです。どちらもユーモアSFですが、ユーモアの種類が大分違いますね。

「うぬぼれロボット」は、飲んだくれて潜在意識を解放することで天才的なひらめきを得るという、マッド・サイエンティストもの。マッド・サイエンティストですから何でも発明するのですが、問題はしらふに戻った時に、何を発明したのかさっぱり思い出せないこと。既に解決済みの問題の解答を探し求めてドタバタするという内容です。

一方、ジョン・スラディックの作品は皮肉っぽい(もしくは風刺を含んだ)ユーモア小説ですね。

「神々の古代靴・・・」は、エセ科学評論を真似た小説。虚実・伝聞とりまぜて「証拠」にして「理論」を展開し、「そう考えないと説明がつかない」と一方的に他の可能性を否定し、従ってこの「理論」は真実である、と「証明」する、エセ科学の特徴を良く捉えています。

同じように「野蛮な力」では「ロボットの3原則」(スラディックによれば「ロビイの3原則」)が、「蒸気駆動の少年」ではタイムパラッドクスが皮肉の対象になっています。「蒸気駆動の少年」のタイムパラッドクスは、何だか複雑すぎて良く分からないですが、下手に分析などしないのが正しい読み方ではないかと思います。

(以上、2004.7.24追記)

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「サイエンス・トピック」は、ボイジャー1号が木星に接近し、詳細な写真を送って来たという話題。テレポートにも「感激した」という便りが載っていました。普通の人が宇宙旅行できるのも、もうすぐ、そんな雰囲気が漂っていた時代でした。


全掲載内容
コンテンツ
作者
ページ
表紙イラストレーション 加藤直之
表紙
広告 三和銀行の小説広告 SF博士の証明(1)
太陽は膨張しているのか収縮しているのか
-
表紙内側
内表紙
-
1
1
目次
-
2
3
(連載)私をSFに狂わせた画描きたち
 続フランク・ケリー・フリース
野田昌宏 カット:加藤直之
4
11
(連載第8回)SF映画講座
 1920年〜1923年 ドイツ表現主義の台頭
井口健二
12
16

梨湖という虚像

梶尾真治 画:佐治嘉隆

17
33

ジョン・スラディック小特集
 神々の宇宙靴-考古学はくつがえされた
 [Space Shoes of the Gods:An Archaeological Revolution]

ジョン・スラデック
 訳:浅倉久志 画:畑農照雄

34
39

ジョン・スラディック小特集
 野蛮な力[Broot Force]

ジョン・スラデック
 訳:乗越和義 画:畑農照雄

40
44

ジョン・スラディック小特集
 蒸気駆動の少年[The Steam-driven boy]

ジョン・スラデック
 訳:安田均 画:畑農照雄

44
51

(連載第2回)ロストワールド2

田中光二 画:依光隆

52
67
題名未定新コラム(3) 横田順彌 画:高信太郎
68
69

空間(あな)

岬兄悟 画:金森達
70
80
ハヤカワ・ミステリ文庫 第9回愛読者カード当選者発表
 当選者100名に、
 「蒼ざめた馬」「お楽しみの埋葬」の2冊を進呈

-

81
81

(連載第14回)宝石泥棒

山田正紀 画:角田純男

82
112

連作 宇宙叙事詩(XI) ある記録(一)

文:光瀬龍 絵:萩尾望都

113
119
(連載)Science Critique
木星の輪

日下実男

120
123

SF SCANNER
 「ニュー・ワールズ」イズ アライヴ&ウェル

乗越和義

124
127
EDITOR A LA CARTE (5)
ジョージ・シザースとエド・ファーマン、
好対照なSF雑誌のエディターたち。

安田均

128
128

うぬぼれロボット[The Proud Robot]

ルイス・パジェット
 訳:山田順子 画:岩淵慶造

129
159

(連載第60回)日本SFこてん古典
 珍書「小人島十年史」

横田順彌
160
170

九州S・F祭&アニメ祭・レポート

(今)
171
171

リーダーズ・ストーリー 講評

豊田有恒
172
173

リーダーズ・ストーリー 虫

鈴木研児
174
175

サイエンス・トピック
 木星との遭遇

池見照二 画:島津義晴
176
177

(連載第9回)スタジオぬえのスターシップ・ライブラリイ

文:宮武一貫 絵:宮武一貫

178
179

てれぽーと

-

180
183
DIMENSION O 眠衆

霜月象一

184
184
SFレビュウ 鏡明 他
185
190
今月のブックガイド
-
191
191

世界SF情報
 SF出版ついに一千冊を突破!
 ハインラインの新作ニュース
 (「愛に時間を」以来、約5年ぶりに新作発表)
 SFファンの二つの典型

安田均

192
192

広告 早川書房の出版本

-
193
200

400枚短期集中連載 第2回
GUIN SAGA 豹頭の仮面 第二話 癩伯爵の砦

栗本薫 画:加藤直之

201
231
編集後記
-
232
232
広告 水パイプ アクアフィルタ
-
表紙内側
広告 マルゼンタイプライター
-
裏表紙
凡例 :小説   :書評、SF関連の話題等   :投稿小説
   
:コミック :SF周辺の話題(アート、音楽、映画等)
   
:投稿   :早川書房からのおしらせ等
   
:広告