1978年10月号(239号)

ハヤカワSFマガジン239号表紙
(C) 早川書房
せっかくのヒューゴー賞・ネビュラ賞特集ですが、個人的にはグッとくる作品なし。それぞれ素晴らしい出来映えだということは分かるのですが、所詮、最後には面白く感じるかどうかが大切で、これは個人の趣味の問題ですから仕方ないでしょう。

(以上、2001年11月頃記録 以下、2004.10.2追記)

3年経って読み返してみましたが、同じような感想を持ちました。以下、簡単な作品紹介です。

「影の群れ」は近未来、アンドロイド(人間そっくりなロボット)が実用化された社会が舞台。田舎町で連続殺人事件が発生するお話です。

といってもミステリーではありません。読み終わって、ジョージ・オーウェルの「Shooting Elephant」を思い出しました。小悦というより、近未来のエッセイといった雰囲気の作品です。

「三百年祭」は米国独立300周年(ということは2074年)の世界が舞台。人工衛星を住処とする4000人の科学者達が、異星人捜しの旅に出かけるお話です。正直なところ、どこが良くてヒューゴー賞を受賞したのか、よく分かりません。

「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」は有名作品なので、紹介は省略。これも私の趣味には合わないなー。

3作とも地味な感じですね。丁寧に書き込まれているけど、インパクトが今ひとつです。

(以上、2004.10.2追記)

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「SFレビュウ」では、好みの作品がいくつか紹介されています。

先ず、ロジャー・ゼラズニイの「光の王」。先発植民者が後発植民者を圧政で抑えつける、未来の植民惑星が舞台です。先発植民者は、自分達にとって都合の良い社会モデルとして古代インドを選び、自らも古代インド神の名前を名乗り、そのキャラクターに即した武器や超能力を身につけています。

主人公(光の王の属性を帯びています)は先発植民者でありながら、一般大衆に同情し、彼らを奴隷的な生活から救うためにかつての仲間達と戦います。この主人公の戦いや、偽りの教えの中から真の仏陀が現れる話などが、インド神話に重ね合わせて語られます。これは傑作です!

もう1つはダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」。この作品については今や説明は不用でしょうが、「テレポート」欄でも「『アルジャーノンに花束を』が良かったとの投稿が載っています。このころ、早川の海外SFノヴェルズは全巻購入していたので、発売後まもなく読みましたが、ちょっと涙ぐんでしまいました。

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「世界SF情報」によると、日本作家の英訳進行中だそうです。具体的には小松左京の日本沈没が、すでにハードカバーでは翻訳出版済みだが、更に「竜の死」という題名でペーパーバック出版されるとのこと。

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「サイエンス・トピック」では、「波高き『むつ』の前途」について解説されています。この日本初(そしておそらく最後の)原子力(実験)船は、昭和44年に進水したものの、漁民等の反対が強いために、なかなか実験開始に至らず、5年後の昭和49年、始めて原子炉が臨界に達した直後に事故を起こし、帰港した青森県むつ市の大湊港に繋がれたままでした。

以来使われることはおろか、母港さえ決まらなかったむつが、佐世保に回航されることになったとのこと。しかし前途は多難で、佐世保も佐世保重工の経営難を救済する見返りとして、修理のための停泊を許可したのみで、母港化には反対しています。結局、その後、反対を押し切って、何度か試験航行が行われ、1991年には解体されました。作ったからには何かやらないと責任問題になるから、形だけ役立ったことにしたのでしょうか?

原子力船はこの当時で250隻存在するものの、殆どは軍用船だそうです。理由は経済的に普通の船と太刀打ちできないからで、民間での原子力船が伸びるのは1980年代後半以降とされていたようですが、どうやらそんな時代は未だ来ていないようです。

なお「むつ」について興味がある方は、「原子力船『むつ』虚構の航跡」(倉沢治雄 著、ISBN 4-7684-5563-8)という書籍が良さそうです。


全掲載内容
コンテンツ
作者
ページ
表紙イラストレーション 加藤直之
表紙
広告 三和銀行
-
表紙内側
内表紙
-
1
1
目次
-
2
3
(連載)私をSFに狂わせた画描きたち
 知られざるファンタジイの傑作
団精二 カット:加藤直之
4
11
(連載最終回)矢野徹インタビュウ
 この人との一時間 荒巻義雄
矢野徹、荒巻義雄
12
16

(連載最終回)消滅の光臨

眉村卓 画:佐治嘉隆

17
39

’77年ヒューゴー/ネビュラ賞特集解説
 −アメリカSF界の動向−

安田均

40
45

ネビュラ賞ショート・ストーリイ部門受賞作
影の群れ[A Crowd of Shadows]

チャールズ・L・グラント
 訳:岡部宏之 画:金森達

46
58

リーダーズ・ストーリー 講評

豊田有恒
59
59

リーダーズ・ストーリー ノルマ

芦田秀昭

60
61

(新連載)スタジオぬえのスターシップ・ライブラリイ

文:宮武一貫 絵:加藤直之
62
63

ディックとメタSF

カルロ・パゲッティ
 訳:浅倉久志
64
73

世界SF情報
 またもや出版点数増加
 第二回世界SF作家大会開かる
 米国SF雑誌情報
 日本作家の英訳進行中(日本沈没 他)

安田均

74
74

お知らせ 第5回「ハヤカワ・SFコンテスト」
 選考委員:小松左京、眉村卓、伊藤典夫
 入選第一席(20万円)、入選第二席(10万円)、
 入選第三席(5万円)

-
75
75
(連載最終回)矢野徹インタビュウ
 この人との一時間 荒巻義雄
矢野徹、荒巻義雄
76
96

DIMENSION O 「つなわたり」

新井苑子

97
97

(連載第10回)宝石泥棒

山田正紀 画:角田純男

98
112

連作 宇宙叙事詩(IX) アヤドーヤ物語(四)

文:光瀬龍 絵:萩尾望都

113
119
(連載)Science Critique
ユーフォロジー論考(3)ユーフォーとユーエフオーとの間

日下実男

120
123

SF SCANNER
 新鋭グレッグ・ベンフォードのSF版「スナーク狩り」

安田均

124
127
FANGINE A LA CARTE(3)
LOCUS 誌はチャーリイ・ブラウンて
妙な名の人がやってるNO.1 の情報提供誌だ。

安田均

128
128

ヒューゴー賞ショート・ストーリイ部門受賞作
三百年祭[Tricentennial]

ジョー・ホールドマン
 訳:風見潤 画:岩淵慶造

129
147

(連載第58回)日本SFこてん古典
 日本SFコテンコテンコテン

横田順彌
148
156
てれぽーと
-
157
159

SFレビュウ

中島梓 他

160
165

今月のブックガイド

-
166
166

第5回「星群祭」レポート

風見潤

167
167

サイエンス・トピック
 波高き「むつ」の前途

池見照二 画:島津義晴

168
169

ヒューゴー/ネビュラ賞ノヴェラ部門受賞作
ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?
[Houston,Houston,Do You Read?]

ジェイムズ・ティプトリーJr.
 訳:伊藤典夫 画:佐治嘉隆

178
192

広告 早川書房の出版本

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193
200

ヒューゴー/ネビュラ賞ノヴェラ部門受賞作
ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?
[Houston,Houston,Do You Read?]

ジェイムズ・ティプトリーJr.
 訳:伊藤典夫 画:佐治嘉隆

201
230

広告 SFマガジン10月輪寺増刊号
 秋の小説フェスティバル 9月9日発売

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231
231
編集後記
-
232
232
広告 カメラロボット Canon A-1 誕生
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表紙内側
広告 マルゼンタイプライター
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裏表紙
凡例 :小説   :書評、SF関連の話題等   :投稿小説
   
:コミック :SF周辺の話題(アート、音楽、映画等)
   
:投稿   :早川書房からのおしらせ等
   
:広告