1978年9月号(238号)

ハヤカワSFマガジン238号表紙
(C) 早川書房
眉村卓さんの「消滅の光輪」が今月号で連載第32回。次号で完結ですから、33回連載だったことになります。約3年間の連載というのは、SFマガジンでも珍しいことだと思います。(多分)有名な司政官シリーズの一作です。

司政官シリーズは、SQ1(だったかな)を頂点とするロボット官僚群を従えた『司政官』を主人公とするシリーズ。『司政官制度』が、発展途上惑星を統治するためのシステムとして開始された頃から、終演に至るまでを描いた社会史物です。

この『司政官制度』、時代を見る目を持った先駆者によって作り出され、優秀な司政官の手で改良が加えられ、華々しい成果を上げるものの、やがて時代の変化に耐えることができなくなり、終焉へと向かうという、私には、アシモフの「銀河帝国の興亡」を想起させる、社会学的な香りのあるシリーズでした。

この他の作品で面白かったのは、「妖怪なんてもう」と「世界のあらゆる悩み」です。

「妖怪なんてもう」は、ヨーロッパの妖怪談を下敷きにした話。この作品によれば、赤い髪、緑の目、節くれ立った腕、黒い歯、ねじれた足が、子供をさらって食べる人食い妖怪の特徴なんだそうです。SFというよりブラック・ユーモア小説といったほうが近いかも。

(以上、2001年11月頃記録 以下、2004.10.9追記)

「妖怪なんてもう」を読み返してみると、前回の感想は撤回。少なくともブラック・ユーモアではありません。それでは何かというと・・・一種の恐怖小説・・・またはサイコ・ミステリー・・・うーん、そんな感じです。

「夢の都ハリウッド」の方は、もっと分からない。かつて有名だった映画監督が、銀幕のスターを目指す時代錯誤のヒッチハイカーと出会い、かつての情熱を思い出して、ヒッチハイカーの売り込みを始めるお話ですが・・・結末があっけないというか、結末とそれまでの話の流れが合っていないというか、全く伏線なしに予期しない結末が訪れるというか、・・・結局何が描きたかったのか分かりません。

(以上、2004.10.9追記)

「世界のあらゆる悩み」は大好きなアシモフの『マルチバックシリーズ』の一作です。マルチバックというのは、近未来の超巨大なコンピュータで、世界のあらゆる情報を、データとして時々刻々入力し、正確に分析し、誤りなく判断を下し、世界の行政を司っています。

ある作品では、アメリカ合衆国の大統領選挙がたった1人の投票で決まります。というのも、事前の調査により、統計的にだれが大統領に選ばれるか、マルチバックには殆ど分かっているので、あとは無作為(?)に抽出した1人の投票があれば結果が確定するということです。ホンの数パーセントで当選確実が出る現実の選挙をみると、あながちウソではないかもという気がします。アシモフは、このマルチバックをテーマにした短編を何本か執筆しています。今月号の作品もその1つで、最後にマルチバックの悩みが語られます。

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「日本SFこてん古典」は、「昭和七年のスペース・オペラ」というタイトルですが、スター・ウォーズを2回見たという話から始まります。読者通信欄「テレポート」でも、子供の群れに混じり、周囲の軽蔑の目を向けられながら楽しんだという投稿がありました。私も見に行きましたが、『軽蔑の目』は感じませんでした(もっとも鈍感なので気付かなかっただけかも・・)。米国では、スターウォーズについては「もう見たか?」ではなく「何回見たか?」というのが一般的な問いかけになっている、というウワサも聞いたものです。

SFブームは映画だけではなく、「編集後記」では「依然、SF熱は高まる一方、アンチSFブーム発言も目立ってきた」というような記載もあります。そういうブームに支えられてでしょうか、この年には、「海外SFノヴェルズ」が発刊されています。本誌の広告によれば、最初の5作品は、愛に時間を(ハインライン)、パーマー・エルドリッチの三つの聖痕(ディック)、地球帝国(クラーク)、マレヴィル(メルル)、リングワールド(ニーヴン)、ときて、最新刊はアルジャーノンに花束を(ダニエル・キイス)、光の王(ゼラズニイ)となっています。

ワタシ、これ全部買いました。読みました!今、思い起こしても、最初の20冊ぐらいまでは面白い作品ばかりで、書店で見かけると、即買いだったという記憶があります。その後は趣味に合わない作品がポツポツ増えて来て、買ったり買わなかったりになり、そのうち、たまに買う状態で落ち着いてしまいました。最近ではダン・シモンズのハイペリオン連作が最高だと思います。こういうの沢山出してくれないかな〜

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最後に、「堀晃のマッド・サイエンス入門」によれば、「ネズミ講が最近、大学生の間に広がって、社会問題になり始めているらしい。」とのこと、ネズミ講という言葉、いつから始まりましたっけ?私が大学生の頃(昭和50年頃)かな?堀晃さんは、「そんなものに引っかかる大学生がいるのか」と驚いていますが、今の社会人だって、新聞等で何度話題になっても、結構引っかかる人がいるようです。みなさまも、メールを使ったネズミ講(そういえば最近みないな〜)に気を付けましょう。


全掲載内容
コンテンツ
作者
ページ
表紙イラストレーション 加藤直之
表紙
広告 三和銀行
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表紙内側
内表紙
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1
1
目次
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2
3
(連載)私をSFに狂わせた画描きたち
 フランク・R・パウル(その3)
野田昌宏 カット:加藤直之
4
11
(連載第11回)矢野徹インタビュウ
 この人との一時間 かんべむさし
矢野徹、かんべむさし
12
16

反在士の鏡

川又千秋 画:深井国

17
43

サイエンス・トピック
 深海にかける夢

池見照二 画:島津義晴

44
45

てれぽーと

-

46
48

広告 妖怪幻想
(水木しげるの世界をシンセサイザー化したレコード)

-

49
49

(連載第11回)矢野徹インタビュウ
 この人との一時間 かんべむさし

矢野徹、かんべむさし、堀晃
50
71

アッカーマン氏再度来日

-

72
72

世界SF情報
 シルヴァーバーグ、創作を再開
 (「ヴァレンタイン卿の城」を執筆開始)
 コンヴェンションあれこれ
 ロバート・ムーア・ウィリアムズ死す
 注目の新刊イギリスSF

安田均

73
73

妖怪なんてもう……[Croquemine n'est plus...]

ジャン・レイ
 訳:岡村孝一 画:岩淵慶造

75
96

お知らせ 第5回「ハヤカワ・SFコンテスト」
 選考委員:小松左京、眉村卓、伊藤典夫
 入選第一席(20万円)、入選第二席(10万円)、
 入選第三席(5万円)

-

97
97

(連載第9回)宝石泥棒

山田正紀 画:角田純男

98
112

連作 宇宙叙事詩(IX) アヤドーヤ物語(三)

文:光瀬龍 絵:萩尾望都

113
119
(連載)Science Critique
ユーフォロジー論考(2)なぜ円盤なのか

日下実男

120
123

SF SCANNER
 宇宙の形、心の形

ジーン・ヴァン・トロイヤー

124
127
FANGINE A LA CARTE(2)
FOUNDATION 誌はパリパリの若手作家が
ツボを心得た編集をしている。

安田均

128
128

世界のあらゆる悩み[All the Troubles of the World]

アイザック・アシモフ
 訳:冬川亘 画:依光隆

129
144

リーダーズ・ストーリー 講評

豊田有恒
145
145

リーダーズ・ストーリー 嫉妬

北川俊司

146
147

夢の都ハリウッド[Valentino,Bogard,Dean and Other Goasts]

レイリン・ムーア、ジョン・ペニイ
 訳:村上博基 画:村上遊

148
158

広告 ハヤカワSFフェア
 7月10日〜8月31日 全国3000店参加

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159
159
地球の血(後篇) 鏡明 画:金森達
160
179

アメリカSF界レポート レムに関する話題二つ

ジーン・ヴァン・トロイヤー

180
181

(連載第57回)日本SFこてん古典
 昭和七年のスペース・オペラ

横田順彌

182
192

広告 早川書房の出版本

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193
200
DIMENSION O 「怒るアフリカ象」

新井苑子

201
201
第8回 堀晃のマッド・サイエンス入門
 無から有

堀晃 カット:加藤直之

202
208

SFレビュウ

水鏡子 他

209
214

今月のブックガイド

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215
215

(連載第32回)消滅の光臨

眉村卓 画:佐治嘉隆

216
230

広告 SFマガジン10月輪寺増刊号
 秋の小説フェスティバル 9月9日発売

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231
231
編集後記
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232
232
広告 カメラロボット Canon A-1 誕生
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表紙内側
広告 マルゼンタイプライター
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裏表紙
凡例 :小説   :書評、SF関連の話題等   :投稿小説
   
:コミック :SF周辺の話題(アート、音楽、映画等)
   
:投稿   :早川書房からのおしらせ等
   
:広告