1977年12月号(229号)

ハヤカワSFマガジン229号表紙
(C) 早川書房
「宝石泥棒」の連載が始まりました。この作品は、私が毎号楽しみに読んだ最後の連載小説でした。

この後、クラークの「楽園の泉」もちょっと興味は引かれたものの、最後まで読み切ることはなく、ちゃんと読んだのは単行本になってからでした。「消滅の光臨」の方も、何となくつまらなくなって、そのうち読まなくなったような気がします。

今月号は、フランスSF特集が組まれています。ちなみに、このころのSFマガジンでは、こういったテーマに沿って作品(主に海外作品)を紹介するのが、毎号の恒例だったようです。この数ヶ月前に、編集長が早川浩さんに変わりましたが、この後次第に新しい世代の日本人作家(かんべむさし、山尾悠子、鈴木いづみ・・・)が中心になっていったようです。

他にも何か違いがないかと眺めると「SFでてくたあ」というタイトルが見つかります。これは「SFレビュー」の前身でして、今月号で最終回です。海外セクション、日本セクションと、それぞれ1ページで、新刊本等を中心に紹介されていました。

今振り返って見ると、この年(1977年)の7月頃から12月頃がSFマガジンの大きな変わり目だったようです。

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さて、フランスSF特集ですが、結構楽しめました。

簡単に紹介すると「クラシックは危険」は、未来のラブコミック?えらく古めかしい「記憶管」というのを持ったロボットが出てきます。恋愛は女性がリードする、男から求愛するのはハシタナイという社会設定が、この小説が書かれた時代(おそらく1950年代)には目新しかったのかも。

(以上、2002年2月頃記録 以下、2004.12.23追記)

「悪徳の惑星」は、「ガルド」の使者が、銀河帝国の暴君「レスポンサブル」を葬り去るために、その居城であるガニメデの「七座天使の街」を彷徨うお話。テーマがあるようなないような・・・。まるで夢の中を彷徨っているように、いきなり場面が変わります。「七座天使の街」はカーニバルのような活気にあふれながら、退廃的なムードが漂い、残虐な行為が行われ、何とも言えない堕落した美しさを感じます。ストーリーよりも描写を楽しむ作品でしょう。

「盲目のパイロット」は、視力を失った宇宙飛行士と、放射線障害のため下半身不随の弟が主人公。もぐりの質屋を営むこの兄弟が、ある日奇妙な箱を預かったことから事件が発生します。一種のミステリー小説かなー?ちょっとネタばらしをすれば、宇宙版セイレーン談です。3作品のうちでは、この作品が一番SFしてました。

(以上、2004.12.23追記)

どの作品も、なんというかフランス的な気怠さが漂っています。

特集外の作品「壁」は、人口が増え、あらゆる土地の上、海岸の上までもがビル化された未来のお話です。この時代、職場に行くのも部屋(この時代、1部屋が家です)の入口に直結されたエレベータを利用、外に出かけるのもラッシュのため大変で、普通の人は、せいぜい、エレベータを使って職場に行くか、別フロアの病院に出かける程度しか部屋を出ることすらないようです。

主人公の夫婦は、壁をTVスクリーンにして、そこにかつての田園や自然の風景を映し出して生活していますが、やがて、一方の壁ではものたりなくなり、2方、3方、そして全ての壁面をスクリーンに変えてしまいます。そして・・・(といっても大した結末ではないですが・・・)

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「チャンドラー日本の旅」は、オーストラリアのSF作家A・バートラム・チャンドラー氏が、8月21日から9月12日まで来日し、京都、高松、福岡等を回られた記録です。東京でのホスト役は、スタジオぬえの皆さんで、乙黒恵子(ケイ)と田中由利(ユリ、当時は女子大生)の通称ダーティー・ペアも接待に参加したとのこと。お二人が小説の主人公になる以前のトピックです。

最後にサイエンス・トピックによれば、この年、32年ぶりに北海道の有珠山が噴火したとのこと、「やがて富士も噴火する」とありますが、いつのことでしょうか・・


全掲載内容
コンテンツ
作者
ページ
表紙イラストレーション 加藤直之
表紙
広告 三和銀行の小説広告
 地球偵察シリーズ(12)新事実判明。地球基地ノ移動ヲ申請シマス。
-
表紙内側
内表紙
-
1
1
目次
-
2
3
(連載)私をSFに狂わせた画描きたち
 エド・エムシュウィラー(その3)
野田昌宏 カット:加藤直之
4
11
(連載第2回)矢野徹インタビュウ
 この人との一時間 田中光二
矢野徹、田中光二
12
16
(連載開始)宝石泥棒 山田正紀 画:角田純男
17
32
壁[The Wall] キース・ローマー
 訳:大村美根子 画:中島靖侃
33
44
フランスSF特集 解説 青江菫 画:千葉たかし
45
49
フランスSF特集
 クラシックは危険[Le Danger des Classiques]
ボリス・ヴィアン
 訳:長島良三 画:村上遊
50
59
フランスSF特集
 悪徳の惑星[Tous Les pieges de la Foire]
フィリップ・キュルヴァル
 訳:三輪秀彦 画:中村銀子
60
74
フランスSF特集
 盲目のパイロット[Au Pilote Aveugle]
シャルル・アンヌベール
 訳:峯岸久 画:深井国
75
90
(連載第6回)ワンダーランドへようこそ
 宇宙最大の決戦
鎌田三平
91
97
第16回日本SF大会私的レポート HINCON日記 風見潤
98
101
(連載第51回)日本SFこてん古典
 日本の007本郷義昭
横田順彌
102
112
連作 宇宙叙事詩(III) テラリアは遠く 文:光瀬龍 絵:萩尾望都
113
119
SFでてくたあ 日野二郎、柴野拓美
120
121
SF スキャナー
 フレデリック・ポール大活躍
榊周一
122
125
(連載第17回)星座の歳時記
 天上のホタル”変光星”
日下実男 カット:佐治嘉隆
126
128
(連載開始)ダイノサウルス作戦 豊田有恒 画:スタジオぬえ
129
152
てれぽーと
-
153
155
海より来たりしもの(後篇) 鏡明 画:岩淵慶造
156
174
リーダーズ・ストーリー 講評 豊田有恒
175
175
リーダーズ・ストーリー 列 伊佐研一
176
177
チャンドラー日本の旅 竹川公訓、山本孝一、上川正尊、
松崎真治 カット:加藤直之
178
186
(連載第2回)矢野徹インタビュウ
 この人との一時間 田中光二
矢野徹、田中光二
187
192
広告 早川書房の出版本
-
193
200
(連載第2回)矢野徹インタビュウ
 この人との一時間 田中光二
矢野徹、田中光二
201
213
サイエンス・トピック
 やがて富士も噴火する
池見照二 画:島津義晴
214
215
世界SF情報
 '77年ヒューゴー賞発表さる
 (ベスト・ノヴェラ:
  「ヒューストン・ヒューストン聞こえるか?」ティプトリー・Jr
  ベスト・ノヴェレット:
  「二百周年を迎えた男」アシモフ 他)
 レイ・パーマー氏逝く
 ギャラアクシイ誌またも黒星
 その他の情報
(J・I)
216
216
(連載第23回)消滅の光臨 眉村卓 画:佐治嘉隆
217
231
編集後記
-
232
232
広告 Canon のコピー
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表紙内側
広告 マルゼンタイプライター
-
裏表紙
凡例 :小説   :書評、SF関連の話題等   :投稿小説
   
:コミック :SF周辺の話題(アート、音楽、映画等)
   
:投稿   :早川書房からのおしらせ等
   
:広告