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1作品目は「蛇の女王」。古代シュメールの伝説の蛇の女王を復活させてしまう話で、SFというよりラヴクラフトの雰囲気に近いです。 2つ目の「マムルスの邪神」も恐怖小説ないしは一昔前の冒険小説風です。内容は、アフリカの砂漠で古代マムルスの神殿を見つけた考古学者が、見えない巨大グモの邪神に襲われる話。その後、砂漠をさまよっていた考古学者が偶然、旅人に発見され、恐怖体験を語った後で息絶えるという、この手の話の伝統的なスタイルを踏襲しています。 3作品目の「衛星チタンの<歌い鳥>」は、ハミルトンの売り物「キャプテン・フューチャー・シリーズ」の作品です。今回はサイモン(生きている脳(大科学者))が生体手術を受け、人間の姿で登場、ロボットのグラッグ、アンドロイドのオットーとともに冒険を繰り広げます。 最後の「審判の後に」は、正統派のSFショート・ストーリーです。放射能によって突然変異を起こした細菌により人類が滅亡、地球を周遊する宇宙ステーションで生き延びた科学者が、18体のサイボーグに文化遺産(音楽、記録・・)を詰め込み宇宙の彼方に放ちます。サイボーグが文明を持った宇宙人と出会い、人類が存在していたという証が引き継がれることを祈りつつ。そしてもう1人の乗員と共に細菌で汚染された故郷、地球に死に場所を求めて帰還します。 ************************************************** 今月号は、ハミルトン以外にも、普通のSFっぽい作品が目立ちます。 「消えた少女」は、昔のTV番組「TheTwilight Zone(邦題:ミステリー・ゾーン)」の第一話の原作。突然『4次元』の割れ目に落ちた娘の救出談。 どういうわけか愛犬だけは入口を知り、助けに入り、それを追いかけた父親が救出に成功。動物の不思議な力と4次元を組み合わせた、よくある話ですね。 「良き隣人」はちょっと洒落た作品です。宇宙人の子供用のペット(直径6kmの太った鳥)が宇宙船を逃げ出し、合衆国を横断し、マンハッタンで打ち落とされます(なんだか2001年9月のテロを思い出しますね)。その数日後、TVで英語を勉強したという宇宙人からの謝罪の手紙と、賠償金として偽造5$紙幣が届けられたという話。なんせTVで得た知識しかないので、$の価値も、お札を勝手に印刷してはいけないことも、ましてや札に一連番号が印刷してあることも知らず、地球人が一番大切にしているらしいものを贈ったという次第です。 ちなみに作者のエドガー・バングボーンには、「オブザーバーの鏡」という、昔、創元推理文庫に納められていた長編があります。本格的にSFを読み始めた高校時代に読んだきりで、残念ながらストーリーを思い出せませんが、宇宙人が地球人に紛れ込んで、誤った行動をしないように監視しているという話だったような気がします。面白かったという思い出だけが残っています。 (以上、2002年2月頃記録 以下、2005.1.22追記) 最後に「インキーに詫びる」は、むりやりにジャンルを分ければタイム・トラベルものの1種ですが、SFよりも通常小説に近い作品です。主人公はニューヨークに暮らす有名な前衛音楽家。子供も大学生になり、過去を懐かしむ中年男です。音楽家として世間の評価を受け、特に生活にも不自由していないのですが、自分が作曲しているものは奇をてらったまがい物に過ぎず、かつて体に感じていた「音楽」をいつしか失ってしまった、と感じています。 そしてある日、失ったものを取り戻すために、かつて恋心を抱いた幼なじみが今でも住んでいる生まれ故郷への旅に出ます。物語は、故郷から3マイルほど離れた場所でバスを降り、徒歩で故郷を目指す前半と、昔なじみの店での幼なじみとの会合の2つの場面に分かれています。前半(分量的には7割近くを占めます)は主人公の独白や心理描写が延々と続き、非常に読みずらいのですが、実はこの部分に多数の伏線が敷かれており、後半部で全てが解決します。 タイム・トラベルものの1種と書いた理由は、主に後半部で、主人公の人生に大きな影響を与えた1931年と1946年のできごとが交差するからです。読み終わってみると、心がほんわかと温まる良い作品です。 (以上、2005.1.22追記) ************************************************** 最後に「SFスキャナー」の冒頭で、「あのジェイムズ・ティプトリー・Jrが実は女性だった」という記事あり。それまでは女性だなんて思っている人はいなかったので、SF界に大きな衝撃を与えました。 |
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