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以下、ちょっぴり気合いを入れてご紹介しましょう。 ***************************** 1)亜空間要塞(半村良) 亜空間要塞というタイトルだけを示されたらどんな内容を想像しますか?ちょい悪主人公が活躍するアクションSFでしょうか。少なくとも雀荘で遊ぶ4人組のユーモラスな会話ではありませんよね。 この作品、まるで読者の期待をはぐらかすかのようにそんな場面からお話が始まります。ちなみにこの4人組全員、芸能人の駄洒落ネームが付けられていますが、さらに実在のSF業界人をパロディっているという話もどこかで聞きました(自信はないので間違っていたらゴメン)。 今月号から4回連載される予定です。シリーズ第1回の今月号では、長年行方不明となっていた主人公の叔父が精神喪失状態で突然現れ、このナゾを解くために、4人組は叔父が介護されている別荘に行きます。するとその夜、空飛ぶ円盤が現れ、叔父を拉致。目撃していた4人組は次元の狭間に吹き飛ばされてしまいます。 そして4人組が目を覚ますと、そこは別世界。どうやらタイトルのうちの「亜空間」と関係ありそうな展開にはなってきましたが、「要塞」の方は影も形も現れないままに第1回が終了。ま、この展開ならどんな方向にでも話が広がりそうなので、どこかで出現するのかな、と期待させつつ次号に続きます。 ***************************** 2)ザルツブルグの小枝(河野典生) こちらも次元テーマですが、亜空間要塞と違ってメルヘンタッチな作品です。街の博物誌シリースなので、あたりまえか・・・ 当時の言葉で言えばヒッピー生活を送る若者達が次元のひずみを目撃する話。特に大事件が起きるわけではなく(といっても「次元のひずみ」自体が大事件ではあるわけですが)、ある夜の間、森が海の底に沈み、小枝にこびりついた塩の結晶が朝日を浴びてきらめいていたり、便器の下に大海原が広がっていたり、そんな出来事を目撃して、奇妙な美しさに心奪われるといった内容。 ***************************** 3)メデューサとの出会い(アーサー・C・クラーク) 一言でいえば「気球による木星探査記録」です。もう少し説明するなら、熱水素気球型探査機を木星大気内に打ち込み、人の目による直接観測を行うというアイデアを小説化した作品です。 クラークらしく、大気を構成する物質とその比率、温度、気圧等の知られている限りの木星に関する事実に基づき、炭化水素の泡が形成する「山脈」など、不思議にリアリティのある世界が描かれています。 この作品は、主人公が船長として乗船していた巨大飛行船の墜落事故を描いた前段部分と、同じ主人公による木星探検場面の後段部分、そして前段と後段とをつなぐ短い幕間、および同じく短い結末シーンから構成されています。技法的には前段部分が結末シーンの伏線になっており、また後段部分における主人公の行動や感情にも絡み合っているのですが、個人的には、木星探検場面が最も心惹かれる部分で、前段と結末は添え物のようにしか感じられません。 ひょっとしたら作者自身も木星大気内の光景を描写したいがためにこの作品を執筆し、ただそれだけでは小説として読ませることが難しいために、前段を書き加えて小説としてのストーリーを作り出したのかもしれない、そんな気がしました。 ***************************** 4)空気と闇の女王(ポール・アンダースン) こちらは遠未来の惑星ローランドが舞台。未踏の北極圏調査に連れて行った幼い我が子が失踪し、母親が惑星唯一の私立探偵に捜索を依頼します。 子供が超自然的な存在にさらわれるという設定は同じ作者の「大魔王作戦」の終盤と共通していますが、「空気と闇の女王」はこのタイトルから想像するようなファンタジーではありません。あえてジャンル分けするならセカンド・コンタクトものでしょうか。 本作品はファンタジーではないのですが、ほのかな北極光の下、墓標石に寄り添って愛を交わしている銀髪の若者といった冒頭シーンをはじめ、幻想的な背景描写がちりばめられており、全篇を通してファンタジックな香りを楽しむことができます。 なお、主人公の探偵は、あきらかに某著名探偵のパクリ(この探偵の子孫であることを暗示する一文もあります)です。本作品を読まなくても「シェリンフォード」という探偵名でWEB検索すれば、誰のパクリなのかすぐに分かります。これは単なる読者サービスなのか、それともシェリンフォードを主人公にした連作でも考えていたのでしょうか。 ***************************** ところで、今月号はヒューゴー・ネビュラ賞作品特集で、「メデューサとの出会い」はヒューゴー賞長中篇部門2席、「空気と闇の女王」は両賞の(長)中篇部門受賞作です。なんだかんだいっても両賞にノミネートされる作品には外れがありませんね。 ちなみに、この年(1972年)のヒューゴー賞、ネビュラ賞獲得作品は下表の通りです。それぞれの受賞作品が大きく食い違う理由の一つは、選考対象期間が違うためで、例えば「神々自身」は翌年のヒューゴー賞を受賞しています。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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