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ハヤカワSFマガジン162号表紙
(C) 早川書房
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<人気カウンター>
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| (各号の掲載作品について、読者が1〜5点の範囲でハガキ投票を行い、平均点が高い作品を掲示していました。4点を超える作品は滅多にありませんでした。今回は1972年5月号の結果発表です。) |
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| 順位 |
題名 |
作者 |
得点 |
| 1 |
真説・本能寺 |
半村良 |
3.65 |
| 1 |
Tと失踪者たち |
山野浩一 |
3.65 |
| 1 |
ただ暗黒 |
サミュエル・R・
ディレーニイ |
3.65 |
| 2 |
ペニシリン1611
大江戸プラス |
光瀬龍 |
3.19 |
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海外作品はラファティ特集+アシモフ作品と、お気に入りの作家ばかり。そこでまず日本作品を軽く片づけてから海外作品のご紹介と参りましょう。
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霊産山秘録は作者の健康上の都合ということで休載。ピンチヒッターは藤本泉さんの「十億トンの恋」です。なんというか、奇妙というか、奇抜というか・・・(悪口ではなく)変な作品です。
東京を年頃の娘に擬人化し、東京に恋する東京湾(これも青年に擬人化)を主人公にしたラブ・ストーリーです。
東京の父親である日本は、たいした財産を持たない東京湾が娘に想いをよせるのを快く思わず、二人の恋のじゃまをするのですが、東京湾は仲間の台風や黒潮達の助けも借りて、ついに東京と結ばれます。
別の視点からは、東京に暴風雨と高波が襲いかかり、東京全域が海面下に沈没する異常気象SFです。これをラブ・ストーリーに仕立てあげたあたりが、「奇妙というか、奇抜というか・・・(悪口ではなく)変な作品です」と書いた理由。結構楽しめまる作品です。
「いまひとつの日本」は、日本生まれの米国人ジャパノロジストが米国政府の依頼を受け「真実の日本」を調査するために来日するお話。
お話は主人公が「芸者ガール号」(客席として桟敷席がしつらえられ、和服姿のスチュワーデスが接客する、典型的な日本航空機)で東京を目指す場面から始まります。
羽田空港の職員はちょんまげに裃姿、交通機関は人力車、主人公が生まれ育った川崎には神社・仏閣が軒を連ねるといったように、かつての面影をなくし、いかにも西洋人が想像する「神秘の国」に変容した日本。主人公はその秘密を探ろうとするのですが・・・
そういえば、1970年代は日本経済が強くなり、その結果、特に東南アジア等で日本製品排斥運動が起きた時代だったと思います。日本人観光客の態度が各国でひんしゅくをかっているというニュースもあったような・・・
そういうことを背景にした作品なので、その時代を知る私には懐かしいのですが、知らない人には意味不明な作品かもしれません。
「海王星市から来た男」は(多分)冒険SF。タイトル通り、地球が海王星人の侵略をうける話ですが、正直なところ、何がおもしろいのか良く分からない作品です。
そもそもなぜ海王星人が地球侵略などするのか分からん。作品の説明では特に海底への植民目的のようですが、海王星って海があるの?ひょっとして作者は「海王星」というぐらいだから海に覆われた星に違いないと思いこんでいるのだろうか?ひょっとしてその程度の科学知識しかない人なんだろうか?ととめどなく疑問が沸き上がる作品です。
それでは面白ければ許せるのですが、謎解きもとってつけたようで幼稚だし、読んでいてワクワク・ハラハラもしない。作者のファンの方には申し訳ありませんが、こんなものを商業誌に掲載する価値はないと思います。今月号の汚点と言い切ってよいでしょう。
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「軽く片づける」予定だった日本作品の紹介が思いのほか長くなってしまいました。次は、ラファティと参りましょう。
解説によると、ラファティ作品が国内で紹介されるのは、これが初めてとのこと。こういう作風は読者の好き嫌いが激しそうなので、出版しても商業的にうまくいくか疑問があるのでしょう。
今月号の3作品を見ても、テーマはSF的で、他の作者が書いてもそれなりの作品にはなりそうな気がします。例えば「町かどの穴」は異次元に通じる「穴」から別の世界の住人が入って来るパラレルワールドものですし、「長い火曜の夜だった」は人間の反応速度を高める薬(それとも処置?)によって、わずか8時間の間に数年に匹敵するような活動が行われる未来世界のお話。また「山上の蛙」は異星の猛獣狩話です。主人公は、この星に猛獣狩りに出かけたまま亡くなった親友の死の秘密と、種族全員が賢者といえる優れた異星人がなぜ滅びようとしているのかという二つの謎の答を求め、自らも猛獣狩りに挑みます。
こんな感じで粗筋を書くといかにも普通のSFという感じがしませんか?ところが、こういったSF的にまっとうなテーマも、ラファティの手にかかると、一風変わった調子はずれ名お話に変身します。音楽に例えるならば、普通の歌をわざと音程をはずして歌いきる、という感じですね。
そう言った点、人によっては「なんだこりゃ、さっぱりわからん」という感想につながるのでしょうし、私のような素直でない人間には、ナンセンスな面白さを感じさせてくれるのだと思います。
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「直感」はアシモフのロボットものの1作品です。原題は「Feminine Intuition」つまり「女の直感」ですね。こちらの方が題名として良いと思うのですが・・・
直感能力を持った新型ロボットのお話です。時代はスーザン・キャルビンがUSロボット社から引退した後。後任の研究者が直感能力を持ったロボットの開発に成功し、このロボット(女性型です)が役に立つことを証明するために、天文台の学者と直接会話させることで「直感的に」人類の居住が可能な惑星を持った恒星を探し出そうとします。
最終的に目論見は成功するのですが、天文台からの帰り道、研究者とロボットが乗っていた飛行機が落雷をうけて墜落。残ったのは、(どれか分からないが)3つの恒星が非常に高い確率で人類に適した惑星を持っている、また、誰だか分からないが恒星の位置をたまたま漏れ聞いた者がいる、という情報だけでした。
USロボット社の重役達は、この重要な知識を知っている者を探しますがうまくいかず、最後にスーザン・キャルビンに相談します。そして彼女もまた「女の直感」で謎を解決するのです。
いかにもアシモフらしいミステリーSFで、これはこれで面白いのですが、さらに、この作品によって、人類が太陽系外に植民を始めたのは、ロボットシリーズの時代からそれほど隔たった時代ではないということが暗示されます。そういう意味で、執筆時に意図したわけではないのでしょうが、鋼鉄都市シリーズにつながる作品ではないかと思います。
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最後に「スペース・タイム・アンテナ」に、「北極から氷が消える」という記事あり。といっても現在話題の地球温暖化の話ではなく、ある研究者によると北極の氷が毎年減少しており、西暦2000年には完全に消滅するというもの。北極から氷がなくなれば北半球の気候が温暖化し、シベリアにも樹林が出来、鉱物資源の採掘も容易になり、北方に避暑地が増えると、何やら楽天的な予測が並んでいます。基本的にはとても前向きで良い時代だったのですね。
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