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ハヤカワSFマガジン149号表紙
(C) 早川書房
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| (各号の掲載作品について、読者が1〜5点の範囲でハガキ投票を行い、平均点が高い作品を掲示していました。4点を超える作品は滅多にありませんでした。今回は1971年5月号の結果発表です。) |
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| 順位 |
題名 |
作者 |
得点 |
| 1 |
ライオンの棲む都市 |
アーサー・C・
クラーク |
4.00 |
| 2 |
ある爆発星雲の伝説 |
ブライアン・W・
オールディス |
3.78 |
| 3 |
盗作者は誰か? |
ジャック・ルイス |
3.54 |
| 4 |
脱走と追跡のサンバ |
筒井康隆 |
3.47 |
| 5 |
絹の国への特命使節 |
ウィリアム・
ゴールディング |
3.43 |
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今月号と来月号の2回にわたって、1970年度ヒューゴー賞・ネビュラ賞特集巻が組まれています。
今月掲載されているのは「九つのいのち」「憑きもの」「少年と犬」の3作品。
この中では「少年と犬」の出来が抜きん出ています。近未来、第三次世界大戦後、地上は暴力とセックスに支配された無政府社会と化しています。「まとも」な人間たちは地下の人工都市に逃げ出し、地上にいるのは、知能を持ち人語を話す犬を引き連れたならずものたちだけです。
地下のシェルター都市に避難した人達は、現代とそう変わらない社会生活を行っていますが、彼らの間にも深刻な問題が一つ発生しています。それは生殖能力を持った男の数が年々減少しているということです。
このままでは自分たちは滅びてしまう・・・彼らは地上の若者を種馬として奪取し利用しようとします。人語を話す犬を唯一の友達として放浪を続ける主人公はこの罠にかかり、地下社会に連れ込まれます。そして・・、
というのがおおよその筋ですが、この小説のすごさはあらすじではありません。すさんだ地上社会の描写、そういう社会に生を受けすっかりその社会の価値観を見につけている主人公の描写。なによりも最後の少年の独白のすさまじさ。そういうものを味わう作品でしょう。
醜悪な感動に心が砕かれるような一品です。おそらく時代が変わっても決して古びて見えない、だから今読み返しても、この30年以上も前に書かれた作品がちっとも古びて見えない。今年の作品だと紹介されても納得できるのでしょう。
一方、それに比べると、「九つのいのち」は過去の作品であるという匂いが漂っています。決して作品に登場するテクノロジーが古びているわけではなく、むしろ「クローン人間」という現在でもまだ実現できないテクノロジーが背景になっています。
しかし、この作品に古さを感じるのは、「クローン人間」そのものをセンス・オブ・ワンダーとしてテーマにしているからでしょう。確かに30年前にはクローンなる言葉自体に耳慣れない新鮮な響きがありました。
一人の人間からクローン製造された5人の男と5人の女からなる惑星調査技術者達、彼らが互いにあまりにも親密であるが故に普通の人間に与える心理的圧迫、事故で他の9人を失った生き残りクローンの苦悩、ひょっとしたら。これは未来の普通小説かもしれません。
しかしその「未来」はもはや手の届かないほど先のことではない。そういう手近なものを作品の中心として据えたところに、今読むと古さを感じるのだと思います。
最後の「憑きもの」は突然地球に現れた「憑き物」のお話。「憑き物」は目に見えないが実在し、突然、人の体に取り憑き、心を乗っ取ってしまいます。「憑き物」はしばらくの間、自分の意識を失った宿主の体を借りて好き放題のことを行い、また突然、体から離れていきます。「憑き物」が何のためにそんなことをするのか誰にも分からないし、何日間乗っ取られるのかも分からない、たびたび乗り移られる人もいれば、それほど被害に遭わない人もいる。そもそも憑き物とのコミュニケーション方法も不明なのです。この作品の主人公もそんな憑き物に翻弄され、彼らを出し抜いたと思った瞬間またしてやられてしまいます。全くサイエンスではありませんが、結構読ませるSFです。
日本作家の作品では半村良の「農閑期大作戦」が一番面白かった。東北の山奥から出稼ぎに来た老若二人の農夫が主人公。彼らは期せずして、大昔宇宙から降り立ったヘテ(鉄の神)と土、木、水といった地球古来の神々の争いに巻き込まれます。
話そのものもテンポが良くて楽しめますが、それ以外に、この時代の様子がしのばれて興味深い。例えば、主人公が従事する工事が地下鉄新玉川線工事。開通したのは、私が就職した後でした。この作品を読んだ翌年、大学進学のために上京した時分にはまだ工事中だったんですねぇ。あるいは、主人公の故郷の電話が1台もない寒村。いまどきそういう村あるのでしょうか?
日本作品NO2は、荒巻義雄氏の「ああ荒野」。時代は今から約千年後。氷河期が始まり、人類はどういう原因かは分かりませんが、次第に技術遺産を失い、次々に都市は廃れ、確実に人口を減らし、人類という存在そのものが滅びつつあります。
作品の時代にはすべての都市が滅び、生き残った人間達は小さな部落を作り、自動採取機械の助けを借りてほそぼそと生き延びています。不思議なことに、ある日空から降り立ったという円形都市が一つだけ、地中海に存在しております。そして、この都市の美しい女王から与えられる「美女との一冬の生活」という報酬をもとめて、一団の男達が、これもわずかに残された自動車に乗って黄金採取の旅を行っています。
主人公もそんな男達の一人。シベリアで多量の黄金を手に入れ、地中海に帰る途中で、山間の部落を獣の襲撃から救い、それが縁になって、この部落にとどまることになります。こんな風に紹介すると、冒険小説のイメージがしますが、これはそうではないです。滅びの美の向こうに新たな生を見つける話。良くかけていると思います。
ただ、1千年後の各地の地名のつけかたが安直すぎるような気がします。ヨーロッパをユーロッピ等、語尾だけを適当に言い換えているような印象有り。言葉が時代と共に変化するのは当然で、作者は地名を少し変えることで、千円後のイメージを出そうと思ったのでしょうが、それならもっと精密にやってほしかった。言葉の変化には法則があるはず。地名変化をやるならそこまで神経を使って欲しかった。気に入った作品だけに小さなことまで気になります。
脱走と追跡のサンバでは、主人公が元の恋人「正子」を連れ、この世界に来た逆順に廻ることでの脱出を図ります。追跡者は、胎児の死体を、臍の緒を持って鎖がまのように振り回しながら追跡します。まさに筒井流の真骨頂といった盛り上がりをみせます。
最後に、小松左京の作品が半年ぶりに掲載。訳あって長い間未発表の作品。氏のセンスオブワンダーとあるが、私にはそれほどのものと思えなかった。途中でオチが分かる。なぜ異質の生物の体内構造が地球生物と酷似しているのか必然性が不明。
鳥人体系が場面転換。これまでは鳥が人間を襲いはじめ、ついには日本を支配するまでに至った過程が割と淡々と記録的に語られていました。今月からは物語風になり、北米の鳥の首領オーベロンとかつて彼を飼っていた科学者の対決談が始まります。
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「すぺーす・たいむ あんてな」で、「勢いづく生物存在論」「西暦2000年の情報通信」の2つの記事が目を引きました。勢いづく生物存在論の方は、地球外生物は存在するはずだという説。
今でこそ「そんなの当たり前。宇宙は広いのだから、どこかには地球外の生物がいるでしょう」と思うでしょうが、当時は、「宇宙には地球以外にもたくさんの惑星があり、その中のいずれかには生物だって存在してもおかしくない」なんて言おうものなら胡散臭いやつだと思われること間違いなかったです。この「勢いづく生物存在論」の冒頭でも、そんな話をまじめに受けてくれるのはSFファンだけだというようなことが書いてあります。
「西暦2000年の情報通信」で述べられているのは、2000年にはTV電話が情報通信の主流になるという説。オフィスでも家庭でもどこでもみんなTV電話で連絡を取るようになるそうです。実際にどうなったかはご存じの通りです。
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