1971年1月号(142号)

ハヤカワSFマガジン142号表紙
(C) 早川書房
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(各号の掲載作品について、読者が1〜5点の範囲でハガキ投票を行い、平均点が高い作品を掲示していました。4点を超える作品は滅多にありませんでした。今回は1970年10月号の結果発表です。)
順位 題名 作者 得点
1 時間線をのぼろう ロバート・シルヴァーバーグ 3.98
2 アンドロメダ・シティ 光瀬龍 3.93
3 脱走と追跡のサンバ 筒井康隆 3.66
4 記憶 つだ・みちを 3.58
5 鉄の殉教者 ロバート・ムーア・ウィリアムズ 3.30
6 ある小惑星への訪問 ゴア・ヴィダ−ル 3.29
記憶って不思議なものですね〜

この私にとって初めてのSFマガジンを買ったのは、高校進学直前の春休みだと、ずーっと思いこんでいたのですが、久しぶりに手にとってびっくり!ナント1971年1月号とあります。ということは高校1年生の年末付近に買ったものです。

掲載内容についてもさすがに30年前のことで、殆ど覚えていないのですが、懐かしさのあまりじっくり再読してみると、確かにどこかで読んだという、デジャブ感覚が甦ります。

たとえば「脱走と追跡のサンバ」で、主人公が「井戸(イド)時計店」で時間の秩序を乱したというくだり、「井戸時計店」という名前は確かに覚えています。また、主人公を尾行している(?)男の「かつて自分は父親に強制されて科学者をめざしたが、そのどろどろした世界についていけなかった」という独白。うん、これも覚えているぞ。

てな具合に、年月の記憶は怪しいのに、作品の一部をはっきり覚えているという不思議な現象に、興を覚えたのでした。

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せっかく再読したので、掲載作品をざっと紹介すると、「ショートショート5」は、そのまま5つのショートショート。はっきり言ってそれほど面白くないです。扉も窓も出入り口は何もない、建てたばかりの家の中から人の声が聞こえる、という「閉じた家」がちょっとシュールかな、という程度。

「脱走と追跡のサンバ」は筒井さんが新人だった頃の、カフカやカミュを思い起こさせる、不条理小説です。主人公はどこかの時点で、本来の世界からはじきだされ、本来の世界と似てはいるけれども異なる、情報で息がつまりそうな偽の世界に入りこんでしまいます(あるいは主人公がそう思いこんでいます)。主人公は過去の自分の行動を思い出し、いったい、どの時点で「この世界」に来てしまったのか考え、この世界から脱走すべく行動を起こします。

今回は、TV局をあやつる巨大コンピュータに脱出のヒントがあるのでは、と考え、プログラマやオペレータを相手に戦い(?)を挑みます。昔懐かしいパンチカードや磁気テープも登場。ちなみにこのコンピュータ(NEAC)はフォートランで動いているもようです。

「恐竜狩り」はタイムマシンで恐竜狩りに行く話、「ロックでいこう」はビートルズ解散の内幕話(ということは、この頃、解散したのか?)「禁漁区」は近未来、低知能の人間集団を隔離して監視する話(今だと「差別」問題で非難されるかも)「アラリー」は集団知性の異星人の話、「必要の母」は近未来の社会形態を創造した男の話です。どれも、ひねりが殆どなくてストレート。その分「古い」という感じはありますが、懐かしくもあります。

最後の「火の国のヤマトタケル」は神話を題材にした冒険SF。一挙70ページの掲載です。文庫本1冊分ですよ!実際にこのシリーズ、文庫に収録されています。大学時代に文庫で読みながら、「なんか読んだ記憶があるなー」なんて思ってましたが、ここで読んだんですね。

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表紙内側の広告は三和銀行のJCBカードです。この頃からカードってあったんだと、ちょっと感動してしまいました。もっとも実際に見たことはなかったけどね。

最後に「すぺーす・たいむ・あんてな」に、「色を見分ける電子の目」という話題あり。今では個人でもスキャナーを使う時代ですが、30年前には、機械が色を識別するっていうのが、大きな話題になったようです。


全掲載内容
コンテンツ
作者
ページ
表紙イラストレーション 斉藤和明
表紙
広告 三和銀行の広告
 JCBカード
-
表紙内側
巻頭言(最近の出来事、今月号の紹介等) M・M
1
1
目次
-
2
3
(連載)サイエンス・ジャーナル
 生まれつつある惑星系?
加藤喬
4
5
(連載コラム第1回)SFコミックスの世界
 このすばらしきがらくた芸術
小野耕世 画:水野良太郎
6
11
ミニミニ ショートショート5 月に這う 戸倉正三 画:楢喜八
12
12
ミニミニ ショートショート5 ひとつの石 戸倉正三 画:楢喜八
13
13
ミニミニ ショートショート5 閉じた家 戸倉正三 画:楢喜八
14
14
ミニミニ ショートショート5 黒い空の下で 戸倉正三 画:楢喜八
15
15
ミニミニ ショートショート5 歩道橋 戸倉正三 画:楢喜八
16
16
(長期連載小説第4回)脱走と追跡のサンバ 筒井康隆 画:杉村篤
17
29
恐竜狩り[A GUN FOR DINOSAUR] L・スプレイグ・ディ・キャンプ
 訳:船戸牧子 画:金森進
30
57
国際SFシンポジウム記念特別企画 対談 未来社会への展望 対談:アーサー・C・クラーク、小松左京
58
70
ロックでいこう 山野浩一 画:楢喜八
71
84
トータル・スコープ(SF映画・TV紹介) 大伴昌司
85
87
(連載コラム第1回)SFコミックスの世界
 このすばらしきがらくた芸術
小野耕世 画:水野良太郎
88
89
禁猟区[GAME PRESERVE] ログ・フィリップス
 訳:関口幸男 画:岩渕慶造
90
104
(連載科学コラム第10回)SFロボット工学入門
 第十章 巨人ロボット・小人ロボット
石原藤夫 画:緒方健二
105
112
特別掲載 SFアート・ファンタジア
 地球終末
斉藤和明 画:斉藤和明
113
119
SFでてくたあ 福島正実、石川喬司
120
121
SFスキャナー
 ジョン・スラデックの長篇二つ
浅倉久志
122
125
すぺーす・たいむ あんてな
 金星はあすの地球?、惑星探査用の特殊車、脳を電子制御、色を見分ける電子の目
-
126
128
アラリー[ALAREE] ロバート・シルヴァーバーグ
 訳:深町真理子 画:中島靖侃
129
141
てれぽーと
-
142
143
必要の母[THE MOTHER OF NECESSITY] チャド・オリバー
 訳:小森正昭 画:岩渕慶造
144
156
巻末特選ノヴェル・新神話シリーズ1 火の国のヤマトタケル 豊田有恒 画:斉藤和明
157
192
広告 早川書房の出版本
-
193
200
巻末特選ノヴェル・新神話シリーズ1 火の国のヤマトタケル 豊田有恒 画:斉藤和明
201
232
広告 日本開発株式会社の分譲マンション(?)神宮前コーポラス
-
裏表紙内側
広告 ブラック・ニッカ
-
裏表紙
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